体育祭
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「んん……。」
「あ、なまえちゃん起きたよ!」
目が覚めると、保健室。隣には透ちゃん、瀬呂くん、響香、三奈ちゃん。
「あれ、私何で……。」
「爆豪との試合で気絶しちゃったんだよ!」
「本当ふっ飛ばされた時肝冷えたわ……。」
「……そっかあ。」
てことは負けたんだ、私。
「うー、悔しい。」
「あの爆豪相手によくやったって!」
「ほんと。ウチも最後勝てるかも、って思ったくらいだし。」
「うう、ありがと~。」
響香によしよしと頭を撫でてもらう。これ癖になりそう。
「ほれ、起きたらさっさと表彰式向かいんさい。アンタ3位なんだろ?」
「え、もう表彰式!?」
どれだけ気絶してたんだ。決勝戦見たかったなあ。焦凍くん対爆豪くん。
リカバリーガールさんにお礼を言って慌てて会場へと向かう。表彰台にはすでに1位2位の2人の姿があった。
「何だろ、あれ……。」
「お、みょうじもういいのか!」
「うん、ありがとう切島くん。……ね、爆豪くんどうしたの?」
「ああ、決勝戦の終わり方が気に入らなかったらしくてなァ。起きてからずっと暴れてんだと。」
「ひぇ……。」
1位の人が鎖に繋がれて猿轡で口塞がれてるって、どうなんだろう。いや今は表彰台に行かなきゃ。
「みょうじさんも来たわね。3位にはもう一人飯田くんがいるんだけど、ちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承くださいな。」
何かあったんだろうか。あんなに張り切っている姿を見ていただけに、隣に彼がいないのは少し寂しい。
「メダル授与よ‼今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人‼」
「私が、メダルを持って「我らがヒーローオールマイトォ!」来た!」
「んふっ。」
被った。思わず笑ってしまった。いけないいけない。
「みょうじ少女、よく頑張ったね。訓練の時よりも、今日は気迫を感じたよ。」
にこりと笑ってメダルを首にかけてくれるオールマイト。
「……私、多分考えなくちゃいけないことがたくさんあります。もっと、より良いヒーローを目指すために。」
何もかもこれからだ。ヒーロー科に入ってよかったと思えるように、私は私のやるべきことをやる。
「うむ。気づきは人に成長を与える。きっと君なら答えを出せるよ。」
(より良いヒーローになるために、ではなくヒーローを目指すために、か。)
大きな体で優しく抱きしめてくれる。拳にぐっと力が入った。
「轟少年、おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのには、ワケがあるのかな。」
焦凍くん、爆豪くん相手に右だけで戦ったのか。それはそれですごい。あ、爆豪くんが暴れてるのってもしかしてそのせい?
「緑谷戦でキッカケをもらって……わからなくなってしまいました。あなたが奴を気にかけるのも、少しわかった気がします。」
よかった。緑谷くんの言葉、焦凍くんにもちゃんと届いてた。
「俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ……俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノが、まだある。」
焦凍くんもまた、憑き物が落ちたような顔をしていて。彼の瞳に憎しみ以外のものが映り始めたのだとわかった。それが何より嬉しかった。
「……顔が依然と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる。」
ぎゅっと彼を抱きしめたオールマイトの言葉。それがあまりに温かくてまた泣いてしまいそうだった。
爆豪くんは暴言を吐きまくっていたし顔が怖すぎた。自分が認めた1番じゃないといらないと最後までメダルを受け取ることを拒否していたけれど、オールマイトによって無理矢理かけられていた。口に。
「さァ今回は彼らだった‼しかし皆さん‼この場の誰にもここに立つ可能性はあった‼ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと昇っていくその姿‼次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている‼」
オールマイトの大きな声が、会場を鼓舞する。私ももっと頑張らなきゃ。次は負けないように。
「てな感じで最後に一言‼皆さんご唱和ください‼せーの!」
雄英特有のやつ!嬉しい!
「おつかれさまでした!!!」
『プルスウルトラー!!!』
みんなの声と全く違う言葉のオールマイト。やっぱりお茶目だ。少し締まらなかったけど、こうして雄英に入って1年目の体育祭は幕を閉じた。