USJ
設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あのあと委員長は飯田くんになった。あんな風にみんなを落ち着かせて統率が取れるんだ、適任だと思う。
「そういえば私に一票入ってたんだけど、誰だったんだろ。」
「ん?あれ俺。」
「え、瀬呂くんだったの?」
「そ、俺は結構向いてると思ってっからね。みょうじがリーダー。」
「ひえ、恐れ多い。」
買い被られてる気がする。私は後ろをついて行きます。
お昼からは人命救助訓練。戦闘向きだと言われるけれど、私の個性は災害時にもかなり有用だ。戦闘訓練の経験も生かしてよく考えて動かなきゃ。
コスチュームは着用自由だった。恥ずかしいけど着とこう。体操着だと全然動きが違ってくるし。
バスにスムーズに乗れるよう飯田くんの指示で2列になってたけどまさかの座席が対面式。うん、そういうこともあるよね。
乗り込んで辺りを見回せばいつの間にかみんな座ってしまっていて空いている場所は一つしかない。えっとどうしようかこれはまずい。最後の一席は何と焦凍くんの隣だった。本人目閉じてるし。詰んだかもしれない。
いやでもこれは不可抗力なので。早く座らないとみんなに迷惑がかかるので。
「……失礼します。」
「……ああ。」
一瞬だけ目を開けて私だと認識しすぐにまた目を閉じた。傷つく。凄まじく気まずいので周りの会話に耳を傾ける。
「あなたの個性、オールマイトに似てる。」
あ、それ私も思ってたやつ。梅雨ちゃんの素朴な疑問に緑谷くんの肩が跳ねた。
「そそそそそうかな!?いやでも僕はその。」
いや動揺しすぎ。何で?保健室で会った時もオールマイト変だったし何かあるのかな。
「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪、あとみょうじだな。」
もやもやと考えてたら切島くんから不意に名前を呼ばれて意識が引き戻される。派手で強いの中に私も入ってるのか。恐縮です。
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ。」
「んだとこら出すわ!!」
「ホラ。」
「んふっ。」
やば、声出た。後ろを振り向いた爆豪くんにこの上ないほど睨まれる。怖いよ。
「この付き合いの浅さですでにクソを下水で煮込んだような性格と認識されてるってすげえよ。」
「てめえのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」
「ふ、ふふっ。」
上鳴くんもうやめてすごい睨んでるからぁ!笑わさないでぇ!
何とか耐え抜いて訓練場に到着した。いや耐えられてなかったかもしれない。後半ずっと睨まれてた。
「すっげーー!!USJかよ!!?」
訓練場広~。すごい。さすが雄英お金持ち。
「あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も、ウソの災害や事故ルーム!!」
スペースヒーロー13号さんが軽く説明をしてくれる。いや本当にUSJなんだ。何か権利関係とか諸々大丈夫なのかな。
13号さんは災害現場でよく会った人だ。強くて優しい大好きなヒーローの一人。
「えー始める前にお小言を1つ2つ……3つ……。4つ……。」
増えてく。
「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
13号さんが災害現場で瓦礫をなくしたり人命を救助しているところはたびたび見てきた。すごい個性だ。
「しかし簡単に人を殺せる個性です。」
「!」
なるほど。私も1度あった。幼い頃、個性の訓練をしている最中に力が暴走して竜巻を起こしそうになった。消太くんが止めてくれてなかったら市街地に突っ込んでいたかもしれない。
「君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。」
か、かっこいい……!そうだ、私たちの力はみんなヒーローになって人を助けるためにある。慎重に使わなきゃ。
「そんじゃまずは……。」
消太くんが次の指示を出そうとしたその時、噴水の近くから黒い靄が現れた。ぞわり、と身の毛がよだつ。
「一かたまりになって動くな!」
「……っ!」
やばい。やばいやばい何あれ。
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「違う切島くん!構えて!」
みんな何が起きたかわからずざわざわしている。早く、危険に気づかないとまずい。
「動くな!あれは、敵だ!!!!」
途方もない悪意が、私たちに向かって微笑んでいた。