戦闘訓練
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先ほどの瀬呂くんの言葉が頭から離れない。あんな風に言ってくれる人、いるんだなあ。
思い返してみると、我が家は結構ヒーローになるのが当たり前の家だったように思う。気がつけばヒーローを目指していた。そのための努力は当たり前だと思って育ってきた。父から受け継いだ強い個性を扱えるようにするのは私にとって当然のことだった。
そういえば今日何か考えてたことあったな。あー、あれだ。何でヒーロー目指したのか。
お父さんに憧れて?いやちょっと違う気がする。ていうか、あれ?ヒーローになるんだろうと思って過ごしてきたけど、あれ。私、ヒーローになりたいって思ったこと。
「みょうじ、買い物か?」
はっと意識が引き戻される。そうだ、ごはん買いにスーパー来てたんだった。
何か今、よくないこと考えそうになった。よくないっていうか、気づきたくないこと。
「障子くん、さっきぶり。晩ごはん用?」
「ああ、もう大体済ませた。」
野菜とお肉がカゴの中に入っている。ちゃんと作ってて偉いなあ。
「今夜焼きそばにしようかなあ。」
「意外だな。」
「ちょっとジャンキーな気分でして。」
浅漬けがあるからそれと適当にお味噌汁作ろう。今日のごはん決まり。
「障子くん家この辺?」
「ああ。」
「じゃあ私の家と近いんだね。」
「そうなのか?」
「うん、一人暮らし仲間。」
障子くんは少し驚いていた。私の父は静岡に拠点を置いていて、それは結構有名なことだ。自宅から通えるのに一人暮らしをしてるとは考えにくかったのだろう。
「実家通いだと思っていた。」
「そうだよね。なんか父親の方針で。身の回りの世話も自分でできるようにってことらしい。」
「……えらいな。」
「障子くんもね。」
女一人では危ないと思ったのか障子くんが連絡先を教えてくれた。訓練反省会の時に大連絡交換タイムがあったんだけど、その時は聞きそびれてしまっていたのだ。困ったことがあったら呼んでくれ、と言った障子くんは少女漫画に出てきそうだった。
「連絡先を渡しておいてなんだが、あまり家の場所を男に教えるのは良くない。」
「あ、確かにそうかも。気を付けます。」
帰り際とても紳士に釘を刺された。最後までかっこいい。まあ障子くんにならいいんだけど。峰田くんじゃあるまいし。
家に帰ったらお風呂入ってごはん食べてさっさと寝てしまおう。余計なこと考えそうだから。
私にとって都合の悪い事実を、今は思い出したくなかった。
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