横から真島
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煌びやかな蝶と腕を組んでホテル街に向かう桐生さんをただ遠くから見つめることしかできず呆然と立ち尽くす。
なによ、鼻の下伸ばしちゃって。
私じゃダメだったってことか。
私はまだまだ子供で、大人な女性が好きでそういう関係を築きたかった桐生さんからしたら物足りなかったんだ。
くるっと踵を返して来た道を戻る。
視界がだんだんぼやけてきたけどそんなことはお構い無しに足を進める。
誰かに声をかけられたがそれに返す余裕もないのでただ黙って下を向いて歩く。
普段なら2、3言葉をかけてダメなら次、が多いナンパ師も今日は特に諦めが悪いようだ。
……にしてもしつこい。
ついに腕をパシッと掴まれさすがに身の危険を感じて振りほどこうと上を向くと
「ぁ、え、真島さ……」
「やっぱり#da=1#チャンやないか!勘違いされるようなことしたのは悪かったと思うとるけど無視されてゴロちゃん、ちょっぴり悲しかったで」
「す、みませ、」
「…泣いてるんやな。愚痴聞いたる。」
そのまま腕を引かれチャンピオン街の亜天使にたどり着いた。
端の方の席にドカッと座ると「いつものやつとウーロン茶」とぶっきらぼうに注文する。
いつものママはそんな真島さんに嫌味のひとつでも言うのだが状況を察知してか、静かに手際よく2人分の飲み物を差し出してくれた。
私がお酒飲めないこと覚えててくれたんだ、と少し心が温かくなる。
「桐生チャンとなんかあったんやな?」
「………うぅっ、」
真島さんに会えてどこか安心したのかボロボロと涙が溢れて止まらない。
私が落ち着くまで真島さんはそっと隣で肩を並べ背中をさすってくれていた。
少し落ち着いてきたら喉が渇いたので先程真島さんが注文してくれたウーロン茶をひとくち飲み、桐生さんが綺麗な女の人とホテル街に消えていったのを目撃したと話した。
「あんのスケコマシが」
ぽつり、と呟いた真島さんの目は怒りに震えていた。
「こんな別嬪さん逃したらもう二度とチャンスは回って来おへんのになぁ。残念や、桐生チャン」
「……」
「#da=1#チャンは桐生チャンのこと、まだ好きなんか」
あの状況を目撃してしまっても正直まだ桐生さんのことは好きで、でもこれ以上好きでいても辛い思いするだけなのも分かっていた。
しかし自分ではどうすることも出来ないことも理解していた。
まぁ諦めきれへん言う気持ちもわかるで。そう簡単に終わらせられる気持ちで付き合うてたわけじゃないやろしな、と上から声が降ってくる。
「こんな状況で言うのはずるいと分かってんねんけど」
きゅ、と手を握られる。
顔を上げると真っ直ぐに目を見つめる真島さんが。
これはいつものおふざけ真島さんの顔じゃなく本気の顔だ。
「俺は#da=1#チャンが好きやった。桐生チャンと付き合う前から。でも桐生チャンと#da=1#チャンは両想いやって気づいてたから自分から身を引いた。そのとき桐生チャンになまえを大事にしてやって欲しい、それが守れへんのやったら俺が奪いに行くって言ったんや。」
「そ、んな」
「俺との約束、桐生チャンは今回の件で#da=1#チャンを悲しませたからそれを破った。これで正式に#da=1#チャンを桐生チャンから奪うことが出来るっちゅーわけや。まぁ、#da=1#チャンさえ良ければーの話やけどな」
いきなりの展開に狼狽えていた私を見て真島さんは言葉を続ける。
「まぁなんやその、今すぐ決めろなんてことは言わん。気持ちを整理する時間も必要やろうからな。」
そう言ってふんわり微笑んで黒革手袋をつけた大きな手で髪を優しく撫でる真島さん。
ドキ、と胸が鳴る音がする。
「それでも#da=1#チャンが桐生チャンのこと忘れられへんいうなら、じっくり時間かけて俺しか見えへんようにするんが俺のやり方やけどなぁ?」
──絶対惚れさすから覚悟しとけや?#da=1#チャン。
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