ヤキモチ (短編3頁)
「よォ新開」
「お、おめさん黒田と泉田に何言ったんだよ!」
「は?」
「部室で二人が殴り合いしてたから理由を聞いたら『だって荒北さんが……』って、それよりいい加減に靖友から離れろ真波!」
新開は荒北から真波をひっぱがす。
「ああ、オメーの言ったこと検証したんだァ」
「検証ってまさか……」
「オレが男好「真波に聞こえるだろ!!」
新開は慌てて遮る。
「勘弁してくれよ靖友!そんなことしたら新たに覚醒する奴も出てくるじゃないか!」
「オマエ気にし過ぎだよ。何人かに聞いてみたけどみんな全然その気無かったぜ」
「どうした新開。なんの騒ぎだ」
そこへ福富がやって来た。
「あ、福ちゃん。なぁなぁ福ちゃん。福ちゃんはオレのこと……」
「ヤメロー!靖友ー!!」
新開は荒北の口を塞いで部室の裏へ引き摺って行った。
「もうやめてくれ。頼むから」
「じゃあオマエの言いがかりだったって認めるか?」
「言いがかり?真実だぞ」
「ならもっと検証しねーと」
「やめ……!わかった!オレが悪かった!だからもうやめてくれ!」
「よーし」
荒北はニヤリと笑った。
「畜生。なんでこんなことに」
新開は憔悴している。
荒北はそんな新開の頬を両手で包み、チュッとキスをした。
「靖友……」
「オメーのヤキモチ、嬉しかったぜ」
荒北はそう言ってもう一度優しく唇を重ねた。
「オレが好きなのはオメーだけだからァ。安心しろ。バァカチャン」
新開はそれを聞いてホッとした。
現金なもので、もう機嫌が直っている。
「オレもだよ靖友。誰と喋ろうと、好きなのは靖友だけだ」
新開は頬を包む荒北の手を掴み、そのまま指を絡めて恋人繋ぎをした。
「こうやってさァ、気になること何でも隠さず言い合って乗り越えていこうぜ」
「うん。これからもずっと宜しくな、靖友」
「おう」
二人の恋人関係はまだ始まったばかり。
バカップルと呼ばれるぐらい熱々になるのも遠くない話 ──。
おしまい