ヤキモチ (短編3頁)
「オレが野郎にモテるゥ?ンなわけあるかっつーの」
そうは言っても気になるので、確認してみようと荒北は放課後に部室へ向かった。
ガラッ。
「あ、お疲れっス」
「お疲れ様です」
「おう」
部室には黒田と泉田がいた。
「ちょうどいいや。オイ、黒田ァ」
「なんスか」
荒北は黒田に近付いてこう言った。
「オメー、オレ見てムラムラするか?」
「!!」
唐突な質問に飛び上がって驚く黒田。
「な、なななんスかいきなり!」
黒田は真っ赤になってうろたえる。
「どうよ」
荒北は黒田にズイッと顔を近付けて睨み付ける。
「な、なんかの罰ゲームっスか?てか、なんで知って……あ、いやその」
「ゴニョゴニョ言ってても聞こえねーよ!使えねーな。まぁいいや。泉田ァ!」
「はっ?はい!」
二人の会話を聞いて口をアングリ開けていた泉田が今度は飛び上がった。
「オメーはどうよ。オレにエロスを感じるかヨ」
荒北の無慈悲な質問に泉田は直立不動で答える。
「ぼっボクはどちらかと言えば新開さ……いえ、でも荒北さんがお望みならアンディとフランクもきっと……」
「アン子とフラン子に聞かねーと何にも決めらんねーのかオメーはァ!」
「はっはひィ!すみません!!」
泉田は真っ赤になって泣きそうな声で叫ぶ。
「ちっ。参考にならねーや。ガッカリだぜ」
荒北は首を横に振りながら部室を出て行った。
黒田と泉田はしばらく放心状態だったが、ハッと我に返った黒田は泉田の胸ぐらを掴んで詰め寄った。
「塔一郎ぉ!テメェ荒北さんに色目使いやがってどーゆーつもりだァァァ!!」
「アブぅぅ!!」
荒北は部室の外をドスドス歩いていた。
すると背後から誰かが走り寄ってくる足音が聞こえてきた。
「あーらーきーたーさーーん!!」
「うおっ!」
真波が突進して2m手前から飛び付いてきた。
二人は抱き合ったまま地面をゴロゴロと転がった。
「飛び付くのヤメロっていつも言ってんだろーが!テメーはうちのアキチャンか!」
「えへへ~」
真波は全く反省の色が無い。
「お、そうだ真波よォ。オメー、オレのこと好きか?」
「大好きですよー!当たり前じゃないですかー!荒北さーん」
真波は満面の笑みで荒北をギューッと抱き締める。
「コイツは不思議チャンだからなぁ。参考にならねーな。どうせオレのことゆるキャラかなんかだと思ってんだろ」
「ゆるキャラより荒北さんの方が抱き心地イイですよー!」
「へいへい。そーかよ」
「靖友!!」
「!」
新開が顔を真っ赤にして激昂していた。