ヤキモチ (短編3頁)





昼休み。

荒北と新開は体育館裏の階段に座り、一緒に昼食をとっている。

 

 

「オメー、もう女子と喋んな」

 

荒北が唐突に言った。

 

 

「え?どゆこと?」

 

新開はキョトンとしている。

 

 

 

「どゆことじゃねんだよ。オメーはオレの何だ」

「スイートハニー」

「スイ……とにかくゥ!オメーはもうオレのモンだから。黙って言うこと聞け。いいな」

 

 

 

二人はつい先日晴れて恋人同士になったばかりだ。

今後の事もあり、ルール等を決めた方が良いと荒北は考えていた。

こういうことは最初が肝心だ。

 

 

「ヤキモチか、靖友」

 

新開はニヤニヤして言った。

 

「ち、違げーよ!つべこべ言うな!」

 

簡単に言い返されて荒北は立場が無い。

 

 

「おめさんの言いたいこと、わかるよ。だけどさ、現実的にそれは無理だよ実際。共学なんだから」

「必要な事以外無駄に喋んなきゃイイんだよ!努力しろ!」

「じゃあオレも言わせてもらうけどさ」

「お?おう。なんだ言ってみろや。オレぁ何も疚しいことなんかねーぜ」

 

新開が反撃を始めた。

 

「おめさんは男子と喋んないでくれるか?」

「……ハァ?」

 

荒北は腹が立った。

 

「小学生の言い合いじゃねんだヨ!」

「オレはおめさんと同じこと言ってるつもりだぜ?」

「どこが同じだよ。男子と喋らなかったら何にも出来ねーじゃねーか」

「靖友。もっと自覚してくれないか」

「自覚?何をだよ」

 

荒北は新開の言ってる意味がさっぱりわからない。

 

新開は荒北の両肩を掴み、こちらを向かせて真剣な表情で言った。

 

「おめさん、男好きするんだよ」

「な、なんだそりゃ」

 

思いがけない言葉に面喰らう荒北。

 

「男にモテるって意味」

「ハァ?んなワケねーだろバァカ!」

「ホントだって」

「オメーにしちゃあ苦しい反論だなァ。効かねーよそんなネタぁ」

「靖友。真剣に聞いてくれよ。頼むから」

「ハン。無理あり過ぎだっつーの。オレに惚れる物好きなんてオマエだけだろ。貴重だぜ」

「靖友!」

 

キーンコーンカーンコーン

 

昼休み終了を告げる鐘が鳴り、話はここで終わった。









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