炎の金メダル (長編20頁)★オススメ
~選手村~
広大な食堂では、多くのアスリート達が賑やかに食事をしている。
その中に、新開隼人の姿があった。
無事予選を通過し、決勝を明日に控えている。
「……」
スマホをテーブルに置き、頬杖をついてずっと見つめたままだ。
「荒北から連絡来たか」
背後から福富が声をかけた。
「いいや、来ないよ……」
首を横に振って答える新開。
「ああ靖友……。靖友、靖友……。どこに居るんだ靖友……」
溜め息をつき、テーブルに突っ伏す。
「新開!金メダルを獲れ!」
元気の無い新開を見て、福富がいきなり檄を飛ばした。
「金メダル……?」
特にメダルには興味を示していない新開は、力なくゆっくり顔を上げる。
「そうだ。金メダルだ。荒北はきっと、オリンピック出場ぐらいでは何とも思わんのだろう」
「え……」
「金メダルを獲って、初めて認めてくれるんだ!」
「!!」
新開はハッとする。
「金メダル……。そうか、そうだよな。出場出来たぐらいで満足してちゃ、ダメだよな」
「ああ、そうだ。金メダルさえ獲れば、さすがの荒北も激励せずにはいられない筈だ!」
「……!!」
ガタン!
新開は立ち上がった。
「寿一!獲るよオレ!金メダル!そして、必ず靖友におめでとうって言ってもらう!!」
「ああ!決勝は明日だ!その気になったのなら、今からもう一度特訓だ!来い!新開!!」
「OK!寿一!!」
二人は意気揚々と食堂を出て行った。
靖友……。
見ててくれ。
必ず獲るよ、金メダル。
おめさんのために。
そうすればきっと、連絡くれるよな?
「おめでとサン新開ィ!」って、言ってくれるよな?
そしたらさ、オレ……。
おめさんに伝えたいこと、あるんだ。
高校時代からずっと……胸に秘めてた……この想いを……。
金メダルを添えて、おめさんに、伝えたい……!
連絡、待ってるからな!
靖友!
きっと!
きっと連絡、くれるよな!!
靖友 ──!!
食堂に設置されたテレビ画面には、ニュースが流れていた。
『昨夜遅く、○○県△△町の山中で火事があり、2階建の洋館が1軒全焼しました。焼け跡から一人の遺体が発見され、現在身元を確認中です。それでは次のニュースです ──』
おしまい