ラブレター (中編5頁)
東「 『はじめまして。私は2年のA美です』 ……やはり!やはりラブレター!」
狂喜する東堂。
東「知っているか荒北。この2年のA美という娘」
荒「いや、全く知らね」
戸惑う荒北。
新「2年のA美……」
ブツブツと呪いの言葉のように復唱し、その名前を記憶しようとしている新開。
東「 『毎日あなたのことを考えて夜も眠れません』 ……ほほう!」
読み進める東堂。
荒「……」
首の後ろをポリポリと掻く荒北。
新「……」
新開の瞳に炎が点った。
東「 『私にはB雄という彼氏がいます』 ……ぬ?」
荒「エ?」
新「彼氏?」
東「 『でも先日B雄から別れたいと言われました』 ……?」
荒「……?」
新「……?」
東「 『好きな人ができたそうです』 ……」
荒「……」
新「……」
東「 『その相手というのが荒北靖友さん、あなただそうです』 ……ぬおっ!」
荒「ハァ!?」
新「なに!?」
急展開にたまげる3人。
東「 『荒北靖友さん、彼氏を男に盗られた私のこの気持ち、あなたにわかるでしょうか』 」
荒「ちょ……」
新「……」
東「 『それ以来、私は夜も眠れず鬱を発症しました』 」
荒「ま、待て待て!」
東「 『荒北靖友さん、私はあなたが憎い。憎い。憎い。』 」
荒「オイ!!」
東「 『あなたなんか氏ねばいいのに。氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね』 」
荒「ヤメローー!!」
耳を塞ぐ荒北。
東「便箋の2枚目3枚目は全て『氏ね』で埋めつくされている……」
荒「捨ててくれそんな手紙!焼いてくれェ!」
新「覚えるべき名前は彼女ではなく彼氏の方だったか……」