ラブレター (中編5頁)
ハラリ。
東「何か落ちたぞ」
荒北が自分の靴箱を開けた瞬間、中から何か軽い物が足元に落ちた。
それを拾い上げる東堂。
東「こっ!これはっ!」
荒「?」
東「ラブレターではないかっ!!」
荒「エッ!?」
新「えっ!?」
10mほど離れた所にいたはずの新開も聞きつけて飛んで来た。
白い封筒。
宛名も差出人も書いていない。
荒「これじゃラブレターかどうか判んねェ」
東「バカ者!これがPTAからのプリントに見えるか!ラブレターに違いあるまい!」
新「寄越せよ尽八。オレが破り捨ててやる」
荒「なんでだよ」
当の本人の荒北よりも、東堂と新開の方が騒いでいる。
東「いいか?開けるぞ?」
荒「いいワケねェだろ。オレ宛てだ」
東「貴様の物はオレの物だ」
荒「かち割ンぞデコ」
荒北を無視し、震える手で封を開ける東堂。
荒北と新開はその両側から覗き込んだ。
便箋が1枚入っている。
東堂はそれを取り出し、ゆっくりと開いた。
ゴクリと唾を飲む3人。
便箋の一番上段に、大きな筆文字でこう書いてあった ──。
『果たし状』
東「……」
荒「……」
新「……」
あとは、日時や場所、人数、使用武器等がずらずらと箇条書きされていた。
新「は~~~~っ!」
新開は大きく安堵の息を吐き、廊下にへたり込んだ。
東「色気も何も無いではないか!」
なぜか怒り出す東堂。
荒「今日の夕方か。ちっ、めんどくせェな」
淡々としている荒北。
東「貴様もう少しドキドキしたらどうだ!しかも……喧嘩だと?許さんぞそんな勝手は!」
荒北を指差して声を荒らげる。
荒「オメーらじゃあるまいし、オレにラブレターが来るワケねェだろ。心配しなくても怪我する前にパパッと片付けてくらァ」
荒北は手をヒラヒラと振って教室へ行ってしまった。
~数日後~
ハラリ。
荒北の靴箱から手紙が落ちた。
東「また果たし状か」
拾う東堂。
東「ぬ!いやこれはっ!」
手紙を手に取って驚愕する。
東「今度は紛う方無きラブレター!!」
新「なんだって!」
飛んで来る新開。
荒「ンなワケねーだろ。果たし状じゃなきゃ決闘状だ」
東「バカ者!決闘状がこんなギティちゃんの封筒に入っておるか!」
確かにそれは、ハローギティの描かれたファンシーな封筒だった。
荒「ウ……」
さすがに言葉に詰まる荒北。
新「……」
新開は険しい形相でその封筒を睨み付けている。
東「いいか。開けるぞ」
いつの間にか当然のように開ける係になっている東堂が開封する。
荒北と新開は両側から覗き込む。
封筒の中には、ハローギティの便箋が3枚入っていた。
ゴクリと唾を飲む3人。
東「 『荒北靖友さま』 」
東堂は読み上げ始めた ──。
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