B線からのSOS (長編18頁)★オススメ





「二度と歌えなくしてやる!」

荒北に男が一人殴りかかる。


荒北はスッと身を屈めてかわし、アッパーを喰らわせた。

ガッ!


「ぐわあっ!顎が!」

口を押さえて地面に転がる男。





「小僧……」

他の男達が間合いを取る。





「どうしたァ。やろうぜホラ」

人差し指を上向きに手招きし、挑発する荒北。




ピン!

男の一人がナイフを出した。

「!」

「調子こいてんじゃねーぞガキ!」


ナイフで襲いかかる男に、荒北は咄嗟にギターで防御した。

バゴッ!

割れるギター。






「靖友!!」

「エ?」


新開が走って来た。



「お前らオレの靖友に何してんだぁぁ!!」

「新開?」


「あるぁぁ!!」

バキッ!!

ナイフの男を助走をつけてぶん殴る新開。

吹っ飛ぶ男。



「なっ、なんだコイツ!」
「目が赤く光ってるぞ!」

乱入してきた新開を見て驚く男達。



「ぅあるああぁぁ!」

男を一人頭上に持ち上げる新開。

「ひぃぃ!やめろ!」


新開はそのまま男を橋から川へ放り投げた。

ザッパーン!!




「ふざけんなてめぇ!」

「危ねェ新開!」


背後から新開に襲いかかる男に、荒北はタックルした。


「靖友!」


荒北と共に転がる男に、新開も一緒に覆い被さる。





ピリピリピリピリ!!


「やめなさい!キミ達!」

警官が走ってやって来た。


集まっていた野次馬がサーッと道を空ける。





「ヤベェ!逃げンぞ新開!」


荒北は新開の腕を掴んで駆け出した。













「ハァハァ」

「はぁはぁ」

荒北の家までなんとか逃げてきた。



ドサッとリビングのソファにへたり込む新開。


荒北は冷蔵庫からベプシを2本出して、テーブルに置く。


その後、濡れタオルと救急箱を持って来た。




「ぷはーっ」

新開はベプシを一気飲みして大きく息を吐いた。






「手当てすっから。上着もシャツも脱ぎな」


「……あ、うん」


言われた通り、服を脱いで肘掛けに放る。






濡れタオルで新開の体を拭く荒北。


「強えェんだなオメー。……カッコ良かったぜ」


「なんか……夢中で。よく覚えてないや」




新開の顔の擦り傷に薬を塗る。


「キレイな顔が台無しだナ」


「顔なんかどうなってもいいよ。この顔のせいで面倒なことばかりだ」



「ンなこと言うな。オレはオメーの顔、好きなンだ」


「靖友……」



グッ。

「!」


新開は薬を塗る荒北の手を掴んだ。



「好きなのは……オレの顔だけ?」


「エ……?」



「オレは、靖友の顔も、体も、性格も、全部……好きだよ」


「……!」



「靖友は……オレのことどう思ってる?オレは、おめさんが好きだ。ライクじゃない。ラブの方の好きだ」


「新開……!」



新開の突然の告白に、みるみる顔が赤面する荒北。




「な、何言ってンだオメ。オレ達……男同士じゃねェか」


「男同士でも構わない。好きになっちまったんだ」



「こんなの……間違ってる」


「靖友……!」


顔を逸らす荒北の頬を、新開は両手で包みこちらを向かせた。



「今のセリフ……覚えてないかい?」


「……ハッ!」



「靖友。オレの運命の相手は、おめさんだ。そして、おめさんの運命の相手は……オレなんだよ」


「……な!」


驚く荒北。




「バカ言うな!ンなワケ……」


「おめさん言ってたじゃねぇか。二人の間には余程の障害があったんだ、って」


「……男同士……!」


「余程の障害だろ?」



荒北は息を飲んだ。




「た、確かにそうだが……でも……」


「靖友」


パニックを起こしかけている荒北。





靖友……。

オレは諦めない。

必ずおめさんを説得してみせる。


もう決して、おめさんを手離したりしない。



そして、B線のオレ達を、救うんだ ──!
















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イイネ