ミスター箱学コンテスト (短編3頁)





~階段室~

 

 

新開を階段の踊り場に連れてきた荒北。



荒「落ち着けヨ新開ィ」

新「靖友に……あんな失礼なことを……」

荒「オレ何とも思ってねェから。ナ?」

 

なだめる荒北。

 



新「靖友……オレ、ホントにおめさんのこと、カッコイイって思ってんだぜ」

荒「バァカ。オメーが1位だろ」

 

 

新「オレ、2票ともおめさんに入れた」

荒「エ?」

 

 

新「でも……おめさんは……寿一に……」



新開は寂しそうに項垂れる。

その姿を見て荒北は驚く。

 

 



荒「オレぁ……福ちゃんには入れてねェよ」

 

新「え?だって……」

 

顔を上げる新開。

 



荒「2票ともオメーに入れた」

新「え?ホント?」

 

荒「ミスター箱学はオメー以外考えられねェし。……けど、今は、少し後悔してる」

新「後悔?」

 

 

荒北は顔を赤らめ、首の後ろを掻きながら言う。

 

荒「オメーがミスター箱学になったら、今後ミス箱学と一緒に色々活動したりパンフに並んで写真載ったりすんだろ?……なんか、それは、ムカつくっつーか……なんか、よくわかんねーケド……」



新「靖友……」

 

新開の表情がパァッと明るくなる。

 



新「それは、オレだって同じ気持ちだよ。もしおめさんが最終結果で1位になったりしたら……。おめさんがミス箱学と一緒に活動する姿なんてオレ……見たくない」

 

 

 

荒「新開……」

新「靖友……」

 

二人とも顔を赤らめて見つめ合う。

 


手を伸ばし、荒北の手をそっと握る新開。


 

荒「……う」

新「……」



荒北は握られてピクッと反応するが、その手を振り解こうとはしなかった──。







 

 

~4日後~



最終結果発表日。

 

 

男子部門の1位は……。

 

 

 

東「ウワッハッハッハ!見たか!当然の結果だ!」

 

東堂だった。

 

 

真「えーー?」

黒「つまんねぇオチ」

泉「誰得?」

 

 

福「おめでとう東堂。チャリ部の宣伝もしっかり頼むぞ」

東「任せておけ!苦しゅうない!ブワーッハッハッハッハ!」



 


 

~屋上~

 

 

荒「東堂のバカ喜んでたな」

新「やりたい奴がやればいいんだ。適任だよ」

 



生徒会に談判して辞退した二人は晴々とした表情だ。

 



見つめ合う互いの手はしっかり握り合ったままだった ──。

 




 

おしまい





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イイネ