ミスター箱学コンテスト (短編3頁)
~部室~
真「オレ荒北さんに2票入れましたー!」
黒「オレも荒北さんに2票……」
泉「ボクは新開さんと荒北さんに1票ずつです」
部室も中間発表の話題でもちきりだった。
荒「オメーら女子に入れるって発想はねェのか」
福「しかし名誉なことだ。エントリー制でもない全校生徒対象だというのに上位3名がチャリ部とは」
東「なぜオレが荒北に負けているのだ」
3位の東堂が不満そうにしている。
真「荒北さんの得票はほとんど男子からでしょうね」
黒「無駄に人気あるからアンタ……」
泉「しかし面白いですね。1人2票ってのがこんな結果をもたらすとは」
新「……」
新開は何か言いたげだったが、黙っていた。
~教室~
「荒北くん」
荒「ア?」
荒北が眠そうな顔を上げると、自分の机の周りは数人の女子に囲まれていた。
荒「な、ナニ?」
ギョッとして目が覚める荒北。
「どういうこと?荒北くん」
囲む女子達の表情は怒っている。
荒「な、なにが?」
ビビる荒北。
どうやら新開のファンクラブのようだ。
「新開くんを押し退けて1位になるつもり?」
「何様なの?」
「ミスター箱学を選ぶ投票よ。わかってんの?」
「身の程知らず」
「辞退しなさいよ」
荒「……」
女子達に口々に責められ、唖然とする。
新「おい!キミ達!」
そこへ新開がやって来た。
「新開くん」
新「なに言い掛かりつけてるんだ。公正な結果だろ」
「だって」
「荒北くんが2位なんてあり得ないし」
「ねー」
新「なにがあり得ないもんか!靖友がどんなにカッコイイか、キミ達知らないだろ!」
荒「オイ、新開」
怒っている新開に女子達はたじろぐ。
「あたし達はただ……」
「新開くんに勝ってもらいたくて……」
新「靖友はな······!」
荒「やめろ新開!」
荒北は新開を止め、腕を引いて教室を出て行った。