勇者ヤストモの冒険 (長編15頁)
~E村~
石にされたD村の隣りE村に招かれ、もてなしを受ける荒北達。
長老「D村の長老はワシの兄です。頑固者なために今回あんなことに……。しかし勇者様が行動を起こされたとは朗報です。ここから京都伏見山までロードならそう遠くありません。この村を拠点に選手村のようにお使い下さい」
荒「そりゃありがてェ。恩にきるぜ」
長老「我が村には武器屋、防具屋、道具屋も揃っております。早急に魔王の情報も集めましょう。どうか、世界を救って下され、勇者様」
荒「世界を救うとか言われっと萎縮すっけど。ただオレぁ魔王が許せねェから倒す。それだけだ」
長老と荒北達が話していると、次々と情報が寄せられて来た。
村人a「魔王には強力な手下が3人いるそうです」
村人b「京都伏見山の入口にまず一人。それを倒さないと上には登れないそうです」
福「ほう。それは面白い」
東「修行の成果をはかれるな」
新「サクッと倒してボスまで行こうぜ」
長老や村人達との会談を終え、荒北達はロードの調整のために“自転車チェーン寒咲E村店”に入った。
寒「いらっしゃい」
福「ム。ジャイアントを購入した時の店主と同じ顔だ」
寒「うちは全国チェーンでね。どの村にもオレのドッペルがいるのさ。ちなみに今回は登場しないが、オリジナルは総北村の本店にいる」
東「ぬ!さりげなくシリーズ化を示唆する発言!」
新「ちゃっかりしてるなぁ」
寒「ついでに武器、防具、道具も売ってるから。最強装備を取り揃えてるぜ。見てってくんな。このプロテクターなんか、どうだい?」
荒「へェ」
ロードを整備に出している間、店内の売り物を見て廻る荒北達。
新「靖友靖友、この“女神の指輪”とか“幸せの靴”とかどう?お揃いで買おうよ」
荒「え、エ?」
福「またやってるのか新開は」
東「どこに居ても色ボケでいかん」
寒「お?勇者様と魔物使いさんはカップルかい?」
寒咲にそう聞かれ、新開は頬を赤く染めながら答えた。
新「オレ達、この戦いが終わったら結婚するんだ」
荒「!」
福「!」
東「!」
寒「!」
場に戦慄が走った。
荒「変なフラグ立てンじゃねェ新開!!」
思わず激怒する荒北。
福「言っていい事と悪い事があるぞ!」
東「同じ事言うにも、もっと言い回しを変えんか!」
福富と東堂も新開に憤慨する。
新「みんな心配性だなあ。オレ達が負けるはず無いじゃないか。全員で靖友をアシストするんだ。オレ達は強い。そうだろ?寿一」
福「ム……」
楽観的な新開の発言に不安になる面々。
ここまで全員で何日も修行を重ね、レベル上げもしてきたが、本心ではやはり決戦前に緊張しているのだ。
皆のそんな不安感が改めて露呈し、払拭しなくてはと荒北は声を上げる。
荒「みんなまだ練習不足だ。もっと修行して自信つけねェとな。気合い入れようぜ!」
それを聞いて寒咲が情報を提供する。
寒「それならいい修行場があるぜ。裏の森に、メタルキングがよく出る場所があるんだ」
荒「マジか!そりゃいい。早速行こうぜ!」
荒北達はメタルキングの森に数日入り浸った。
そして見事全員レベルMAXに到達。
いよいよ決戦の日がやってきた──!