勇者ヤストモの冒険 (長編15頁)
スパッ!
荒「いよッしゃア!」
荒北達はレベルが上がった!
(ファンファーレ)
福「荒北の素早さのおかげではぐれメタルがサクサク倒せるな」
荒「いや、このマスターソードが凄いンだ」
東「メタルも真っ二つとは」
新「まるで斬鉄剣だな」
京都伏見山への距離を縮めるにつれ、辺りは禍々しい空気に変化する。
魔物との遭遇率も上がってきた。
同時に荒北達のレベルも上がる。
決戦は確実に近付いている。
東「フフフ。レベルが上がったおかげでオレのメラもメラミになった。メラゾーマまでもう少しだ」
新「オレのウサ吉も強くなったよ」
東「あのウサギ達のどれがウサ吉なのだ?貴様見分けがつくのか」
新「全員ウサ吉だ」
東「なんと!」
~D村~
立ち寄った村の入口に人だかりが出来ている。
人だかりはこのD村の住民ではなく、隣り村から来た村人達のようだ。
皆、怯えた様子で村の入口から中を覗き込んでいる。
福「村全体がやけにひっそりとしているな」
荒北は人だかりに声を掛けた。
荒「オーイ、なんかあったのかァ?」
村人達は一瞬ビクッと驚いて振り向いた。
村人a「実は……D村に昨日……」
村人b「魔王が来たみたいなんだ」
荒「魔王が!?」
荒北達は驚く。
昨日、ここに魔王御堂筋が来ていたというのだ。
村人c「それで……みんな石に……うっうっ」
荒「なんだって?」
荒北達はD村に立ち入る。
立ち話中の村人。
買い物中の村娘。
かけっこ中の子供達。
皆、一瞬で石にされてしまったようだ。
ついさっきまで普通に生活していた情景。
今にも動き出しそうに生々しいが、カチンコチンに固まっている。
新「……むごいな」
荒北達は魔王に石にされた村があるとは聞いていたが、見るのは初めてだった。
東「……ちなみにこの村の御神体は何だったのだ?」
東堂が尋ねる。
村人a「確か……ジオング」
福「ジオング?ジオングなら大丈夫そうだが」
不思議がる福富。
村人b「それが……みんなも止めたんだが」
村人c「この村の長老が頑固で……」
福「どういうことだ?」
村人b「実は……脚を付けていたんだ」
福「なにっ!」
新「ジオングに、脚を?」
東「それは……魔王が怒るのも無理もない」
村人c「だから言ったのに……!うっうっ」
村人b「偉い人にはわからんのだ……」
泣き崩れる村人達。
荒「……」
怒りでワナワナと震えている荒北。
荒「確かにジオングの脚は飾りだ!だが、だからって、女子供まで石にするほどのことかァ!!」
荒北は地面を拳で叩いて叫んだ。
福「荒北……」
東「……」
荒「許せねェ!見てろよ御堂筋ィ!オレがぜってー倒してやっからなァァ!!」
新「ヒュウ!イカスぜ靖友」
荒北は決意を固めた。
村人a「あの、あなた達は一体……?」
村人達が尋ねる。
荒「オレ達は……」
新「勇者靖友とゆかいな仲間達だ」
福「ム!」
東「またもや!」
村人a「勇者!」
村人b「勇者様が立ち上がってくれたのですか!?」
村人c「おお!これはみんなに知らせねば!」
驚き歓喜する村人達。
村人a「是非うちの村へお寄り下さい!」
村人b「すぐに長老に知らせます」
村人達は慌てて荒北達を迎え入れる準備に入った。