勇者ヤストモの冒険 (長編15頁)





荒「うゥ……」

 

 

荒北は倒れたままだ。

 

 

 

新「靖友!靖友!!」

 

新開は荒北に駆け寄りたいが、足を石にされているため動けない。

 

 



 

 

新「……よくも……オレの大切な人を……」

 

メラメラと怒りの炎が燃え上がる新開。

 

 

 



 

新「御堂筋くん」

 

御「んー?」

 

呼ばれて新開の方を見る御堂筋。

 

 

 

 

 

新「京都伏見山の頂上にさ……鬼が出るってウワサ……知ってるかい?」

 

 

 

 

 

御「はー?ウソや。そんなウワサ聞いたことあらへん」

 

 

ズシン!

 

 

御「は?」

 

地面が揺れた。

 

 

 

 

ズシーン!

 

 

ズシーーン!

 

 

 

御「なんやの?この地鳴り」

 

 

揺れはどんどん大きくなる。

 

 

 

 

福「なんだ?」

東「地震か?」

 

荒「……?」

 

御堂筋も荒北達も辺りをキョロキョロ見渡す。

 

 

 

 

大地を揺らす地震を起こしているものが木々の間から正体を現した──!

 

 

 

御「な……!」

 

 

 

 

それは一つ眼の巨鬼、ギガンテスだった!

 

 

 

 

 

御「こ、こんなん、どっから……!」

 

見上げてたまげている御堂筋。

 

 



新開の怒りのパワーで、ただでさえ巨大なギガンテスが数倍の大きさになっていた。

御堂筋を軽く見下ろしている。

 

 

 

ギ「グゴオオォォォ!」

 

咆哮するギガンテス。

 

 

 

 

新「魔王を倒せ!ギガンテス!!」

 

命令する新開の目は赤く光っていた。

 

 

 

ギ「ゴアオォォォ!!」

 

ギガンテスは巨大なこん棒を振り上げた。

 

 

 

 

御「チ、チートや!こんなん!チートやぁ!!」

 

足がすくんで動けない御堂筋。

 

 

 

 

こん棒を振り降ろすギガンテス。

 

御「ぎゃーーー!」

 

 

 

 

 

ゴオォォォン!!

 

 

 

 



全身をこん棒で潰されてピクピクしている御堂筋。

 

 

 

 

福「ム……」

東「なんと……」

荒「すげェ……」

 

その惨状を見て呆然としている荒北達。

 

 

 

 

新「靖友!今だ!トドメを!」

 

新開に叫ばれてハッと我に返る荒北。

 

 

 

荒「おぅ!」

 

荒北はマスターソードを杖代わりにヨロヨロと立ち上がる。

 

 

 

目を回している御堂筋の上に乗り、マスターソードを構える。

 

 

 



荒「往生せぇやァァ!!」

 

荒北はマスターソードを振りかざして叫んだ。

 

 

 

 

荒「魔神斬りィィ!!」

 

 

ズバアァーーッッ!!

 

 

 

 

御「ぐぎゃあああああ!!」

 

 

 

会心の一撃!!

御堂筋は頭から真っ二つに斬り裂かれた。

 

 

 

 

 

プシューー!

 

御堂筋の身体から紫色の煙が大量に吹き出す。

 

 

 

その煙は紫色から次第に黄色へと変化していった。

 

 

 



 

御「世界が……黄色に見える……。黄色は……ダメや。黄色は……」

 

 

 

 

 

御堂筋の身体は黄色の煙と共に縮んでいき、そのまま消滅した。



















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イイネ