テーマパークへ行こう! (短編2頁)
東「げろげろげ~」
東堂が隅の側溝で虹を作っている。
新「テーマパークに遊びに行こうって言い出したのはおめさんだぜ、尽八」
荒「情けねェな、アスリートが」
呆れている新開と荒北。
東「ぬぅ。クライマーは繊細なのだ。貴様らスピード狂と違ってな」
福富に背中を擦られながら反論する東堂だが、声が弱々しい。
荒「乗れねェヤツが一人出てくると興醒めだぜ」
荒北が追い討ちをかける。
東「くっ……。ここに巻ちゃんや真波がいれば同意してもらえるのだが。人選を誤ったか。不覚っ」
敗北を認めそうになる東堂。
福「スピード系はともかく、オレも重力系や回転系は苦手だ」
東「フク!解ってくれるか!」
福富が味方についてくれ、HPが少し回復する東堂。
今日は仲良し4人組でテーマパークへ遊びに来ている。
インターハイも無事終わり、高校最後の夏休みを楽しみに来たのだ。
しかし、一通り絶叫系に乗った後、フライングカーペットに東堂が撃沈した。
一度三半規管をやられると、回復には時間がかかる。
新「重力系と回転系はダメっていうと、バイキングとかフリーフォールとか空中ブランコとかかい?寿一」
福「そうだ。意外と盲点なのがコーヒーカップだ。子供向けと思ってなめていると後悔する」
東「そう!その通りだフク!オレは嬉しいぞ!」
荒「なんだ、それじゃほとんど乗れねェじゃん」
荒北がつまらなそうにする。
新「ゴーカートなら4人でレース出来るんじゃないか?」
荒「お!面白そうじゃナァイ!」
東「ふむ、そのぐらいなら。しかしまだ今は無理だ。もう少し休ませてくれ」
福「オレと東堂はしばらくフードコートに行っている。オマエ達はその間に派手な物に乗って来るといい」
荒「そう?わかった。ンじゃ行こうぜ新開!」
新「そうだな」
東堂と福富が脱落したので、新開と荒北は二人で乗りまくって楽しんだ。
荒「だいたいさァ、カッコ悪りィんだよ男のくせに乗れねェもんあるなんて」
新「そうだよな。せっかくフリーパス券買ったのに勿体ないよな」
一通り乗った後、新開と荒北はフードコートに向かいながらブツブツ言っている。
荒「あ、福ちゃんは別に構わねェよ。カッコ悪りィのは東堂だけだ」
新「ははっ。ひどいなそれ」
フードコートに着くと、福富と東堂がかき氷を食べながら園内パンフを広げて今後の予定を話し合っていた。
新開はバナナソフト、荒北はベプシフロートを買って、テーブルへ近付く。
荒「よォ、乗れそうなモン決まったかよ」
東「おお、戻ったか!面白そうなアトラクションを見付けたぞ!」
だいぶ体調が良くなった東堂が、顔を上げて嬉しそうにはしゃぐ。
新「どれどれ?」
福「今夏にオープンしたばかりのものらしい」
東「いわゆる“お化け屋敷”だ!」
荒「……えッ?」
新「へー!いいじゃないか。それなら乗り物酔いもしないしな」
新開はノリ気だ。
荒「……い、いや、そんなんつまんねーんじゃ?」
福「かなり大規模なリニューアルをしたようだ。最新技術を味わえる」
荒「そ、そんなんよりさァ、もっとスリルのある乗り物にさァ……」
東「お化け屋敷だぞ!充分スリルあるではないか!」
荒「そうじゃなくてさァ……。もっと、こう、スカッと絶叫出来る……」
新「そうだな!お化け屋敷でスカッと絶叫しようぜ靖友!」
荒「……」
4人はその新アトラクション『絶叫ホラーマンション・改』へ向かった。
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