辛い誕生日 (短編2頁)





荒北は立ち上がると、新開の足を閉じさせた。

 

そしてそのまま新開の太股の上に跨がって座った。

 

 

顔を覗き込んでニカッと笑い、両手の指先で新開の髪の毛をすく。

 

「ウ……」

 

ゾクゾクとする新開。

 

 

荒北の指先が耳に触れる。

 

「フッ」

 

ピクッと反応する新開。

 

ちゅっ。

 

荒北は新開の耳にそっとキスをした。

 

「ムグッ」

 

そしてそのまま舌を耳にグニュッと挿入した。

 

「ムグーーッ!」

 

その刺激に全身が突っ張り、思わず射精してしまいそうになる新開。

 

 

荒北はすぐに舌を離した。

 

「フーッフーッ」

 

息を整えている新開。

 

 

荒北は新開の額、こめかみ、瞼、鼻、頬、と順番にチュッチュッとキスの雨を降らせる。

 

そして唇にキスを。

 

しかし新開の口には粘着テープが貼られている。

 

「ムグー」

 

荒北はその粘着テープの上をベロンベロンと舐め上げる。

 

「ムグー!ムグー!」

 

直接唇を触れることが出来ず、もどかしくて全身をくねらす新開。

 

 

荒北の唇はそのまま首筋へ降りて行き、鎖骨辺りに吸い付き、キスマークをひとつ付けた。

 

「へへッ」

 

荒北は満足気にそのキスマークを指でなぞる。

 

 

 

「あァ、ダメだ。オレも興奮してきちまった……」

「ムグッ?」

 

荒北は頬を紅潮させ、息遣いが荒くなっている。

 

 

「今からちょっとオナっけどォ、見ちゃダメだぜ」

「ムグー!?」

 

 

ビッ。

 

荒北は粘着テープをもう1枚千切り、新開の目に貼った。

 

「ウー!ウーッ!」

 

新開はもがいている。

 

 

「オナり終わったら剥がしてやんよ」

「ウウー!ウー!」

 

新開は首を激しく横に振っている。

なぜ見せてくれないのかと非難しているのだ。

 

 

「済んだらオレもう部屋に帰っから。オメーは朝までその格好な。目と口のテープは剥がしてやる。けど、手はダメだ。なァに朝になりゃァ、しぼんでるさ」

 

「ムグーーッ!」

 

そんなバカな!

このまま触れさせてももらえず、見せてももらえず、生殺しのまま朝までこの格好でいろというのか!

誕生日なんだぞ! 

 

 

「さてと……」

 

ギシッ、と荒北が新開のベッドに横たわる音がする。

 

 

「目隠しされて、口も手も拘束されてるオメーの姿、めちゃくちゃエロいぜェ……」

 

シュッシュッ、と衣擦れする音が聞こえる。

荒北が自分自身をしごいているのだろう。

 

 

「ハァ……ハァ」

 

荒北の荒い息遣いが聞こえる。

 

 

「……ム……ムググ……」

 

唸っている新開。

 

 

「ムググググ……」

「……ン?」

 

異変を察知する荒北。

 

 

 

 

「ムグーーーーッッ!!」

 

ブチーーン!!

 

 

 

なんと、新開が手首の粘着テープをぶっ千切ったのである。

 

「ええーーッッ!?」

 

たまげる荒北。

 

 

 

ベリッ!ベリッ!

 

目と口の粘着テープを自分で剥がす新開。

 

「ブハーーっ!」

 

「う、うっそダロ?信じらんねェコイツ!!」

 

腰を抜かさんばかりに驚いている荒北。

 

 

 

「ハァ、ハァ。靖友……」

 

新開はギョロリとした目で荒北を捕らえる。

瞳が赤く光っている。

鬼モードが発動している証拠だ。

 

 

「や、ヤベェ……」

 

身の危険を感じた荒北は、ベッドから降りて逃げようとする。

 

 

 

「靖友ぉぉーーーーっ!!」

「うわあァァァァァァ!!」

 

荒北は簡単に捕まり、ベッドへ引き摺り込まれた。

 

 



 

翌日、新開は腰を、荒北は臀部を痛めたとかで二人は学校を休んだ ──。

 

 






 

おしまい






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イイネ