辛い誕生日 (短編2頁)
今日は7月15日。
新開の誕生日である。
寮の談話室で、仲の良いメンバーで誕生日パーティーを開催した。
「ありがとう、おめさん達。嬉しいよ」
パーティーは無事終わり、各々の部屋へ戻る。
そして消灯後──。
コンコン。
新開の部屋がノックされた。
「靖友」
「へへッ」
部屋に入ってきたのは荒北だった。
新開と荒北は恋人同士である。
しかし皆には内緒にしている。
今夜は誕生日パーティーとは別に、荒北が個人的に誕生日プレゼントをくれるという約束になっていた。
まだ内容は知らない。
新開はそれが楽しみで仕方なかった。
荒北が自分のために特別に用意してくれたプレゼントだ。
どんな物でも大切にしよう。
もちろん宝物だ。
しかし荒北は手ぶらだった。
何だろう。
品物じゃないんだな。
もしかしたらラブソングでも歌ってくれるのかもしれない。
だったら録音しなくちゃ。
新開はソワソワしている。
ゴロゴロ。
荒北は新開のデスクから椅子を転がして来た。
そして新開を座らせる。
「オメーが以前から望んでたモンをやる」
荒北がニカッと笑って言った。
「え?何だろう」
期待に満ちた目を向ける新開。
「裸ポールダンス」
「ま、マジで!?」
驚いた。
まさか実現するとは思わなかった。
何でも口にしていればいつかは願いは叶うのだ。
新開は神に感謝した。
そ、そうだ。
録画しなくちゃ。
イソイソと椅子から立ち上がろうとする新開を、荒北は両手で押さえる。
「動画の用意を……」
「ダメだ」
荒北はそう言うと椅子をクルッと回転させ、新開の両手を背もたれの後ろに回した。
ビッ。
荒北はポケットから粘着テープを取り出し、新開の両手首を後ろ手にグルグルと巻いて拘束した。
「え?」
そして椅子を正面に戻す。
ビッ。
荒北は粘着テープをもう一枚千切った。
ペタッ。
新開の口に貼る。
「ムグッ!」
荒北はニヤリと笑う。
「オレには指一本触れることは出来ねェぜ、お客サン」
人差し指を立ててそう言うと、荒北は新開の正面に立って服を脱ぎだした。
「ムグー」
新開は動けないし喋れない。
荒北はゆっくり自分のシャツのボタンを外す。
新開の目をジッと見て、逸らさない。
もうこれだけで新開は大興奮だ。
新開の顔の前に近付いて、見せつけるようにランニングを脱いだ。
目の前に荒北の乳首がある。
新開は思わず吸い付こうと口を近付けたが、身体が椅子に固定されほとんど動けない。
口も塞がれているため、唇を突き出すことも出来ない。
「ムー」
唸る新開。
その様子に満足しながら、荒北はデニムを脱いでトランクス1枚になる。
ポールダンスと言ってもポールなど無いので、部屋の隅に立て掛けてある掃除機の柄を持ってきて代用した。
片足を高々と上げ、ポールを軸にクルクルと回る。
膝を曲げてしゃがみ、股をを大きく開き、背中を反らせ、官能的に踊る荒北。
トランクスの裾から中身が見えそうで見えない。
「ムグームグー!」
鼻息を荒くして興奮している新開。
荒北の踊りを焼き付けるために瞬きもせず目を見開いている。
荒北は後ろを向いて両足を開いて立ち、腰を前屈させて足の間から新開と視線を合わせた。
そして人差し指と中指を尻にあて、トランクスの上から蕾を広げる仕草をした。
「ムグーッ!」
それを見て新開は完全にエレクトしてしまった。
しかし動けない。
荒北は掃除機の柄を放り、新開に近付く。
新開のデニムのボタンを外し、腰を浮かさせて脱がす。
下半身トランクス1枚になった新開はテントを張っている。
荒北は新開の両足を広げ、間に入ってしゃがみ込んだ。
口をテントに近付ける。
「フーフー」
新開は期待で鼻息が荒い。
荒北は口を大きく開け、トランクスの上からテントをくわえようとする。
しかし、直前で止め、暖かい息をかけるだけにする。
「ムー!ウウー!」
ジタバタする新開。
荒北は新開の目を覗き込みながら、両手の平で新開の膝を掴み、そのまま太股の内側を撫で上げる。
「フー」
両手をトランクスの裾から挿入させ、新開の股関節を指先でなぞる。
「ウーッ」
ベロリと舌を出し、テントを舐める仕草をする荒北。
しかし仕草だけだ。
「ウウウーーッ!」
こんな焦らし攻撃を受けるとは、なんて辛い仕打ちだろう。
新開は18年間生きてきて、こんなにも辛い誕生日を迎えたのは初めてだった。
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