ボクらのレーパン (短編1頁)
泉田がスマホで自録りしながら何か語っている。
泉「やぁみんな!知っていると思うが念のため説明しておこう。レーパンの中身はノーパンだ!下着との摩擦を減らすためなんだ。そしてレーサーともなると、更に摩擦抵抗を無くすため内股にローションを塗っているんだよ!」
黒「カメラ目線で誰に語ってるんだ塔一郎」
部室でジャージに着替えている荒北を、新開はじっと眺めていた。
新「なぁ、靖友」
荒「ン?」
新開はベンチに置いてあるワセリンの瓶を手に取って言う。
新「このワセリン、オレに塗らせてくんない?」
荒「ハァ?」
それを聞いていた真波がすかさず挙手する。
真「ハイ!オレも!オレも荒北さんにワセリン塗りたいです!塗らせて下さい!」
更に黒田も参戦する。
黒「待って下さいよ。どう考えてもそれは荒北さんの舎弟であるオレの役目でしょう。新開さんも真波もソコどいてくれませんかね」
荒「オメーら、ワセリンをサンオイルと勘違いしてねェか?」
そこに泉田が口を挟む。
泉「まぁまぁ。ここは平和的にジャンケンで決めましょうよ」
黒「塔一郎、オマエは関係ねーだろ。すっこんでろよ」
泉「ボクは皆の記録が撮りたいだけさ。さぁ、じゃーんけーん……」
泉田が号令を掛け出したので、変態トリオは慌ててジャンケンに参加する。
泉「ぽん!」
真波……パー
黒田……パー
新開……チョキ
新「ぅおらっしぇぇあああっ!!」
よくわからない雄叫びをあげ、新開は拳を振り上げてガッツポーズをする。
新「さあ!靖友!カモーン!」
新開は鼻息を粗くし、両手にワセリンを塗りたくって荒北をコーナーに追い詰める。
荒「カモンて、オレぁ了承した覚えは……ちょ、待て!」
荒北を押し倒してレーパンの中に両手を突っ込む新開。
真波と黒田は駆け寄って覗き込む。
泉田はその様子を動画で撮影している。
荒「オイ!違う!ソコ違う!どこ握ってンだコラ!」
新「ごめん、手がぬるぬる滑って」
荒「入ってる!指!指が入ってるってェ!」
新「おかしいな。指が滑ってついつい」
荒「抜けッ!新開ッ!その指を抜けーッ!!」
新「ああ靖友、そんなに暴れたら滑ってもう1本入っちまう」
荒「やめてッ!もうやめてェーーッ!!」
バーン!!
東「貴様ら!いつまで着替えとるかーっ!!」
全員「!!」
その時東堂が部室の扉を開け、全員が飛び上がる。
東堂は場の惨状を見渡して怒鳴り散らした。
東「真波!そのヨダレを拭けみっともない!黒田!床が貴様の鼻血だらけだ掃除しろ!泉田!最近我々の恥部を学園裏掲示板にやたら投稿していたのは貴様か!全て削除しろ!荒北!隼人はもう気絶している!それ以上殴ったら本当に死ぬぞ!何があったか知らんがラスト1発にしておけ!」
レーパンの中には夢がいっぱい、秘密がいっぱい。
街でローディを見掛けても、レーパンを凝視してはいけません。
おしまい
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