チャリデカ2《カジノ編》 (長編20頁)★オススメ
真「お客様、ドリンクいかがですか?」
鞠「!」
真波が小鞠にシャンパングラスを差し出した。
鞠「え……ああ、いただきます」
小鞠はグラスを受け取り、トレイの上にチップを置く。
真波は小鞠に笑顔で話し掛けた。
真「ご存知ですか?当ホテルのコンベンションホールでは、先週から最新ロードバイクの展示会を開催してるんです。だから今、その関係のお客様が多いんですよ。ロードお好きなんでしたら是非、昼間に御覧になってみて下さい」
鞠「え?ロードバイクの展示会ですって?」
小鞠は真波の説明に興味を持ったようだ。
鞠「そう、そうだったんですか、それで……。そういえば、あちらのプレイヤーもスプリンターだし、あちらはクライマー……」
小鞠は同じテーブルに居る泉田と東堂を見て納得したように頷く。
泉田と東堂は聞こえないふりをしているが、冷や汗でびっしょりである。
鞠「ボーイさん、アナタも……クライマー……」
真「そうです!オレ、クライマーです!すごいや!ホントに見ただけで判るんですね!オレ、昼間はその展示会の方でバイトしてるんです。今度ご案内しますよ!」
鞠「ええ。行けたら行きます。ありがとう」
真波の笑顔に小鞠の興奮も鎮まり、和やかな雰囲気となった。
黒「真波!ナイス!」
荒「スペシャルクリティカルだ真波ィ!ご褒美に今度奢ってやんぜ」
真「ご褒美ならオレ荒北さんと筆おろ「ハイご褒美消えたァ!」
荒北が全否定する。
荒「福ちゃん、作戦続行だ」
福「岸神、オレはプレイを続行したいんだが」
鞠「ええ、すみませんでした。続けましょう」
プレイが再開された。
黒「クラブのA、残ゼロです!」
荒「福ちゃん、あと少しだ。会話を引き伸ばしてくれ」
福「岸神。オマエはカウントしていないようだが」
鞠「クスクス。ボクにはカウンティングなんか必要ありません」
福「ほう。他にも計算方法があるのか?」
鞠「ボクには……幸運の女神がついてますから」
小鞠はニッコリ笑って言った。
黒「さすがにカードをすり替えてるとは吐かないスね」
荒「犯罪だからな。初対面の相手に明かすワケがねェ」
鞠「それより……ねぇ」
小鞠はまた興奮してきたようだ。
鞠「一度、直に触らせてくれませんか?アナタの筋肉(にく)……」
福「そんな趣味は無い」
鞠「誤解しないで下さい。性的な意味はありません。ボクはただ、その筋肉(にく)を揉みほぐして弾力を楽しみたいだけなんです」
福「充分性的行為だ」
鞠「だってアナタ、すぐに移動してしまうんでしょう?だったらもう、今夜しかないじゃないですか。もちろん、謝礼は払います」
福「金ならある」
荒「福ちゃん、もうあと2、3ゲームだ。キモイだろうが堪えてくれ」
チーム箱学のリーダーが、仲間達の目の前で犯罪者に凌辱されている。
荒北だって、いつまでもこんな光景見ていたくない。
会話を聞かされている全員が同じ思いだった。
鞠「じゃあ、アナタの望みは何ですか?ハァ……ボク、何でもしますから。ハァ……お願いです。アナタの筋肉(にく)、ああ、その美しい筋肉畑(にくばたけ)にダイブしたい!!」
黒「ダイヤのA!残ゼロです!!」
黒田が叫んだ。
荒「待たせたな福ちゃん。ラストリザルトだ」
ガタッ。
鞠「!」
福富が席を立ち上がり、小鞠を見下ろした。
驚いて福富を見上げる小鞠。
福「そんなにオレのにくに触りたいか」
鞠「……ええ!ええ、触りたい!触らせてくれるんですか?」
期待に満ちた表情で前のめりになる小鞠。
福「では、オレと勝負しろ」
鞠「勝負?」
福「オールインだ」
鞠「!!」
観客「「おおお!!」」
城のように積み上げた福富のコインを、オールインすると言うのだ。
ギャラリーは大歓声。
益々人垣は増えていく。
鞠「福富さん、アナタ……アナタ……」
小鞠はキョトンとして……。
鞠「最高(いい)!!」
恍惚の表情で叫んだ。
鞠「もちろん!もちろん受けますよ!ディーラーさん、彼と同額をベットします!」
小鞠は新開にプラチナカードを渡した。
新「かしこまりました。少々お待ちを」
チーム箱学のテーブルは最高潮を迎えた──!