チャリデカ2《カジノ編》 (長編20頁)★オススメ





~司令室~

 

 

今日の捜査のために特別に設置された司令室には、クジラ部屋の監視モニターが壁一面にズラリと並んでいる。

 

 

黒「準備OKス」

 

一足先に司令室入りしていた黒田が、入ってきた荒北に報告する。

黒田も今日はカジュアルな普段着だ。

 

 

荒「よォし」

 

 

 

コンコン。

 

司令室の扉がノックされ、入ってきたのはMr.ピエールだった。

 

 

ピ「Mr.荒北。今日はよろしくお願いしマース」

 

Mr.ピエールは荒北に手を差し出す。

 

荒「任せといて下さい。パパッと解決してみせますヨ」

 

握手しながら荒北は答える。

 

 

ピ「……あの高校生だった皆さんが……立派な大人になりましたネ」

 

Mr.ピエールは感慨深げに笑顔になる。

 

荒北と黒田はちょっと照れくさそうに顔を見合せた。

 

 

荒「署の総北組は水くさいと言って、みんなあなたに会いたがってましたよ」

 

それを聞いてMr.ピエールは少し涙ぐむが、すぐに笑顔になって言った。

 

ピ「事件が解決したら、当ホテルでアナタ方を招いて祝勝会を予定してマス。同窓会も兼ねて盛大なパーティーをしまショウ!」

荒「お、イイっすねェ!楽しみにしてます!」

 

Mr.ピエールはニコニコして出ていった。

 

 

 

 

 

荒北と黒田はインカムを装着した。

 

最近のインカムはかなり小型化され、ホクロ程度の大きさのシールを耳の後ろに貼り付ける。

マイクは襟の内側だ。

 

 

モニターには、チーム箱学用のブラックジャックテーブルが様々な角度から映し出されている。

 

福富達が配置を確認しつつウロウロしているのが見える。

 

ディーラー姿の新開がモニターに映り、荒北は一瞬見とれてしまうが、すぐに頭をブンブン振って邪念を払った。

 

 

 

荒「全員チャンネルを確認しろ。ちゃんと聞こえてたら左目に手な」

 

荒北がインカムの調子をチェックする。

全員がOKのようだ。

 

荒「お互いなるべく目を合わさないよォに。インカムで話す時は唇の動きに気を付けろ。昼間はまだ客も少ない。気負わずに練習だ」

 

みんな少し緊張している様子だ。


そんな時、場を和ませようとしたのか東堂が喋り出した。

 

東「見ろ!ブラックジャックテーブルを囲む3人の男前なタキシードに、ディーラーにカクテルボーイ。実に絵になっているではないか!ポーズをとってチーム箱学の宣伝用ポスターを作ろう!」

 

東堂は監視カメラに向かってニヤリと笑った。

 

 

黒「東堂さんあんなこと言ってますよ!オレ達もこのズラリと並ぶモニターの前でポーズとってポスターにしましょうよ!」

荒「普段着だけどな」

 

 

 

東堂のおかげで皆の緊張もほぐれ、練習は順調に捗っていった。

3人のプレイヤー役もディーラー役もスムーズにゲームを運んでいる。

カウンティングの記録分析も順調だ。

 

 


そんな時、真波が女性客に絡まれた。

 

マダムA「あ~ら、可愛いボーイさん!私と一緒にバカラでもしな~い?」

 

マダムは酔っ払っているようだ。

 

 

真「い、いえ、オレ仕事中なんで」

マダムA「いいじゃな~い」

真「怒られますから。ホント。ごめんなさい」

マダムA「うう~ん」

 

なんとか必死で振り切る真波。

マダムはクネクネしながら残念そうに立ち去った。

 

 

東「あのままマダムについて行って筆おろししてもらえば良かったではないか真波」

 

東堂がインカムでからかう。

 

真「え?嫌ですよ。オレ筆おろしの相手は荒北さんって決めてるんですから」

 

黒「ぶっ!」

新「なに?」

荒「言ってる意味がわからねェ」

 

 

 

真波はトレイの上に置かれたチップを手に取りながら不思議そうに言った。

 

真「さっきのマダム、チップくれましたよ。オレ断ったのに」

 

泉「真波は刑事よりここでボーイやった方が稼げるな」

 

泉田も真波をからかう。

 

真「オレ、給料の額よりも、先輩達と一緒に仕事してる方が好きです」

泉「お?おう」

 

ためらわず素直に言う真波に泉田は驚いた。

 

福「よく言った真波。それでこそチーム箱学の一員だ」

真「えへへ~」

 


荒北が思い出したように説明をし出した。

 

荒「そうだ、言い忘れてたァ。クジラ部屋のマダム達には気を付けろ。金はあるが暇をもて余してるヤツラばかりだ。全力でナンパしてくンぞ。相手してたらキリがねェ。ちゃんと追っ払えヨ」

泉「ホントですか?それは聞き捨てなりませんね」

 

泉田が急に色めき立った。

 

 

東「なんだ泉田。貴様、年上が好みだったのか」

泉「ええ。落ち着いた年上の女性、素敵だと思います」

 

東「ならば今度うちの旅館へ来るといい。傷心独り旅のアラサー女性がいくらでも釣れるぞ」

泉「それは是非!」

黒「塔一郎~。仕事中だぞ~」

 

珍しく暴走しかけている泉田に黒田がツッコミを入れた。














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イイネ