ハコガクデート (中編6頁)
荒「えっ?ついて来ンの?オマエラ」
翌日、寮の玄関でデートに出掛けようとしている荒北は驚いた。
泉「はい!後学のために是非見学したいと!」
黒「オレは塔一郎の付き添いです」
真「オレもでーす」
新「オレは構わないよ。デートの邪魔しないよう、少し離れててくれるならね」
新開はニコニコしている。
後輩達に見せ付けることに優越感を覚えているようだ。
荒「オメーが構わないってンなら別にイイけどよ」
5人はぞろぞろと街へ繰り出した。
『愛と青春の君の名は』
荒「これ観ンのォ?」
新「今上映してる恋愛モノはこれだからな」
荒「あっちの『真・キングギドラ』のが面白そうなンだけど」
新「デートなんだから恋愛モノって決まってるんだよ靖友」
荒「そーゆーモン?」
新「そーゆーモン」
映画館の前で、荒北を説得する新開。
小「真波くん!」
そこへ声を掛けてきた人物がいた。
真「……坂道くん?」
小野田と今泉だった。
小「真波くんも映画?」
真「うん。坂道くんはデート?」
今「なんでだよ」
今泉が真顔で否定する。
小「僕達はねぇ、『ラブヒメ最後の聖戦』を観に来たんだ。なんせ上映館が少なくて、ここまで来ちゃったんだよ」
真「そうなんだ」
泉「おやおや、これはこれは総北の次期エース、それに“山王”じゃないか」
泉田が真波と会話している人物に気付いて話し掛ける。
小「え?……どっひゃーー!!錚々たる面々!!箱学のエーススプリンターに、エースアシストに、泉田さんにそれから……えっと……どちら様でしたっけ」
黒「黒田雪成だっ!来年はメインメンバーだから覚えておいてもらおう!」
小「く、黒田さんですね。すみません。ははは……戦国武将みたいな名前でカッコイイですね。あははは……」
小野田は冷や汗で顔がびしゃびしゃになっている。
今「箱学の錚々たる面々5人が、恋愛映画を……?」
不思議がる今泉。
真「5人の内2人はデートでね、残り3人はついて来たんだよ」
真波が笑顔で説明する。
今「……余計意味がわからん。小野田、わかったか?」
小「いやぁ、僕にもさっぱり……」
今「まてよ。箱学はレースに勝つためにあらゆることをすると聞く。これもそのひとつなのかもしれないな」
小「なるほど!僕らには計り知れない深い意味があるんだね!」
勝手に納得する総北の二人。
荒「オイ、オメーら時間だぞ。またなァ小野田チャン」
小「あ、はい。荒北さん達もごゆっくり!」
総北組と箱学組はそれぞれの映画を観に別れた。