ハコガク野球大会 (長編10頁)★オススメ
「ああっ!真波選手!ライトの真波選手がフェンスを登っています!」
真波!
「確か以前イチローが壁を登ってホームランを阻止したことがありました!」
よせ!危険だァ!
「真波選手、間に合うか!しかしあの高さからの転落は危険です!キャッチしても衝撃で球はこぼれます!」
やめろ!
もういい真波ィ!
「真波選手、フェンス天辺からジャンピングキャーッチ!!しかし転落!センター黒田選手が思わず落下地点にカバーに入ります!このままでは二人共危険です!」
うわあァァ!
オレのせいで!
オレのせいで可愛い後輩二人が大怪我を!!
オレは血の気が引いて意識が遠のく──。
その時!
真波の背中から白い羽根が生えて、一瞬フワッと身体が浮いたように見えた。
そのままゆっくり降下し、黒田の上にべちょっ!と落ちた。
「……今のは……?目の錯覚でしょうか?羽根が?」
観客もざわざわしている。
真波は笑顔でグローブを高々と掲げた。
ボールがしっかり入っている。
「荒北さーん!捕りましたー!」
……真波……!
「スリーアウーッ!試合終了ーッ!!」
ワーワーワーワー!!
「試合終了です!真波選手の超ファインプレーで自転車部、逃げ切りましたー!!」
「真波!真波!真波ィィ!!」
オレは真波に走り寄って抱き付いた。
「荒北さーん!オレ、イチローみたいでした?」
「イチローは羽根生やしたりしねェんだよバカヤロウ!けど、イチローよりカッコ良かったぜオメー!」
「わーい!」
「ふ、二人共、オレの上からどいてもらえませんかね……苦しいっス……」
真波の頭をワシャワシャにかき混ぜていると、足元で黒田が言った。