秘密の青メッシュ (短編2頁)
スゥ……。
オレの膝に身を預けると、新開はすぐに眠りにつく。
オレの膝枕での仮眠が毎晩心地好くて病み付きになったらしい。
ほんの30分ぐらいの間だ。
短時間だし、足が痺れるわけでもねーし、漫画でも読んでる間に済むことだから、別に苦じゃねェ。
オレの膝がコイツの役に立ってるんなら、使わせてやんよ。
「……」
無防備に安心しきって眠ってやがる……。
オレはたまにイタズラ心で眠っているコイツにちょっかいを出す。
以前、鼻をつまんでやった。
だが、すぐに起きて怒られたのでもうやめた。
次は耳を触ってみた。
耳は性感帯だから、なんか反応したら面白れェなって思って。
だが、意外となんにも反応がなくてつまんなかった。
──アホ毛引っ張るのは求愛の証でしょう常考──
アホ毛……。
そうか、髪の毛か。
オレは新開の赤毛に視線を落とす。
気持ち良さそうなフワフワな髪だ。
そういや、コイツの髪は所々青いメッシュが入っている。
ホント、チャラい奴だゼ。
オレは青いメッシュを一束つまんで、ツンと軽く引っ張ってみた。
ピクッ。
反応した!
もう一度ツンツン。
「ん……っ」
軽く声をあげている。
オレは試しに赤毛部分を一束引っ張ってみた。
が、反応は無い。
青いメッシュの束だと……。
「んん……」
面白れェな。
メッシュの束と区別ついてんだ。
どーゆー仕組みだァ?
よくわかんねーけど、オレは他のメッシュ部分も試してみる。
「ん……ハ……ァ」
新開の頬が紅潮して、息遣いが荒くなってきた。
ヤベェ。
コイツの性感帯、発掘しちまった。
これ以上やったら面倒なことになりそうだ。
今日はこの辺でヤメとくか。
「……!」
新開が目覚めた。
「あ……?」
寝惚けた顔で不思議そうにオレの顔を見上げている。
「スッキリしたかよ」
オレはそう声を掛け、膝をズラす。
新開は頭をブンブン振りながら、上体を起こす。
「なんか……色っぽい夢見てた気がする」
「ハッ!欲求不満かよ。たまには発散しろバァカ」
「夢に靖友が出てきた」
「ふーん、そりゃドーモ」
「ん……また明日も頼むな、靖友」
「へいへい」
新開は少しフラつきながら部屋を出ていった。
……明日はもうちょっとツンツンを増やして遊んでやろ。
へへっ。
おしまい