秘密の青メッシュ (短編2頁)





「なァ、真波」

 

オレは部室で真波のアホ毛を背後からツンツンと引っ張って言った。

 

ビクン!

と真波は全身を突っ張らせた。

 

 

「あ、荒北さん?」

 

真波が驚いて振り向く。

なんか声が震えていたようだが、オレは気にせず本題に入った。

 

 

「オマエのこのアホ毛、レアカード判別出来るんだってなァ」

 

アホ毛を掴んで観察するが、この毛束のどこにそんなセンサーが付いてるのかオレにはわからない。

 

 

「……」

 

真波は真っ赤になってオレの顔をガン見している。

なんだ?その反応は。

よくわからないが、オレは聞きたいことを尋ねた。

 

「だったらよォ、自販機でベプシ買う時に当たりが出るかどうかとか、下に小銭が落ちてたら察知出来るとか、そういうのも判んのォ?」

 

「判りますよ」

「え?おいマジで?じゃ早速外の自販機でやってみせてくれヨ」

 

「いいですよ荒北さんなら。じゃあ今週末オレの両親に会ってくれますか?」

「は?」

 

今の流れでどっからそんな話になった?

 

 

「ベプシ当てんのになんでオマエの両親に会わなきゃいけねんだよ」

「荒北さん、オレのアホ毛引っ張ったじゃないですか」

 

「引っ張ったよ。それが何なんだよ」

「アホ毛引っ張るのは求愛の証でしょう常考!」

「初めて聞いたヨそんな話ィ!どこの星の生態だヨ!!」

 

なんだコイツは!

一体何を言ってるんだ!

 

「オレを弄んだんでずがぁあらぎだざーん!ヒドイでずー!!」

 

真波はギャン泣きしてオレの腕にしがみつく。

 

「オイ!誰かこの不思議チャンをなんとかしてくれェ!」

「オレにまかせて下さい荒北さん!」

「アブっ!そのスパナで何する気だユキ!」

 

 

真波の後始末を黒田にまかせ、オレは寮に逃げ帰った。

 

 

 

 

「靖友」

 

部屋に入ると、すぐに新開がやって来た。

オレが帰ってくるのを待ち構えていたようだ。

 

「今日も、いい?」

「……あァ。来いよ」

 

オレはベッドに腰掛ける。

新開は一人分程間をあけて座り、オレの膝元へ倒れ込む。

 

 

コイツはこうやって毎晩、オレに膝枕をしてもらいにやって来るんだ。










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