下着泥棒 (中編4頁)
ドドドド……!
「廊下を走るな!」
「っせ!」
東堂の注意を振り切り、荒北は新開の部屋へ突進した。
バァーン!
乱暴にドアを開ける。
「新開テメェ!こっちが気ィ遣う程わかりやすい手掛かり残しやがってェ!」
「うわぁ!なんだよ!なんの話だよ!」
ベッドの上で雑誌を見ていた新開は驚いて飛び上がる。
「パンツ返せ!このド変態野郎!」
「なんだよパンツって!」
荒北は新開のベッドのマットレスを強引に引っぱがす。
「どうせココだろ!」
予想は見事に当たり、マットレスの下から荒北の使用済みパンツが4枚発見された。
「う……」
バツが悪そうに頭を掻く新開。
息を切らした荒北は、懐かしい自分のパンツを見付けてホッとした。
怒りよりも、なぜ?という気持ちの方が強い。
それに、犯人が全く知らない奴ではなく新開だったことで少し安心した。
新開はベッドの上であぐらをかいて下を向いている。
荒北はその目の前に仁王立ちし、腕組みをして新開を見下ろす。
「……説明しろよ。どういうことか」
「……靖友のパンツじゃなきゃダメなんだよ」
新開がボソッと白状しだす。
「ダメって……オレのパンツじゃなきゃヌけねェって意味かよ」
新開は慌てて顔を上げ、首を横に振った。
「違う!そんなことに使ってるんじゃない!性的な目的じゃないんだ!ただ匂い嗅いでるだけなんだ!癒されるっていうか、陶酔するっていうか、トリップするっていうか」
「充分ド変態だろーが!今さら往生際悪りィぞオメー」
「違うんだよぉぉ靖友ー!オレをそんな目で見ないでくれよぉぉ!」
新開は荒北の腕を掴んで思い切り引き寄せた。
「うわっ!」
ベッドに引き込まれ、あっという間に組敷かれる。
「靖友……パンツくれよ」
「なっ……」
新開は目がイっちゃっていた。
「パンツくれよー。パンツくれよー」
「ちょ、待て!」
様子のおかしい新開に戸惑う荒北。
新開は荒北の両手首を片手で掴んで拘束し、もう片方の手で荒北の履いている短パンを引き下ろす。
すごい力だ。
「新開!オイ!」
パンツに手をかけられた。
「やめてェ!」
荒北は簡単にパンツを剥ぎ取られてしまった。
ヤベェ!
ヤ、犯られる!
荒北は焦って身を硬くし、目をギュッと瞑った。
「……」
しかし、何も起こらない。
恐る恐る目を開けると、新開は今剥ぎ取った荒北のパンツを一生懸命スーハーしていた。
荒北は唖然としながらゆっくりベッドから降りた。
「パンツの中身には興味ねェってことかヨ!……それはそれでなんかビミョーに傷付くなァ!」
荒北はフル○ンのまま、新開を指差して罵倒した。