新春企画 『貴方と共にあるということ』
びちゃびちゃと地面に広がる赤い液体を、イタリアが誇るマフィアのボス、ボンゴレ10代目は無感動の目で見つめた。
「今年も、この色からか。」
手袋をぎゅっと握りしめて、血に濡れた部屋から外を見る。空が白んで来るのを察知すると、部下の一人が10代目、と声をかけた。
「解ってる。」
眉をゆがめて返された言葉に、近くに居た黒いスーツの男が「ツナ、帰るぞ。」と声をかける。その男の声に、ボンゴレ10代目は再び先ほどの言葉をかけた。
「解ってる。」
肩に掛けたコートが、10代目と呼ばれた男が振り返ったのと同時に空気をはらんで揺れた。
見ていた部下も、黒いスーツのスナイパーも、彼の背中がとても小さいという事にその時初めて思い至った。
「帰ったら、」
言い淀んだ黒いスーツのスナイパー、リボーンに、ボンゴレ10代目・・・沢田綱吉は笑った。
「うん、知ってる。ビアンキとハルが御雑煮用意してるんでしょ?」
「それと、」
「隼人が驚かせようとして、一発芸の練習してるのも知ってる。」
「でもこれはしらねぇな。」
「・・・何?」
無感動の瞳をしたまま綱吉は、自身より少し小さなスナイパーを見つめた。
「皆がお前を待っているということだ。」
そのことに目をぱちくりさせた綱吉は、今年になって初めて口角を少しだけ持ちあげた。
「ありがとう、我が愛するファミリー。」
『一人ではないのだと、確認する。』
10代目!おかえりなさいませ!あ、あの!
ツナ!先にいただいてんぜ。雑煮うめぇの。
お前ッ山本!
ツナさーん!お餅、いくついれますかー?
さっさと席に着きなよね。
おや?綱吉君は君の隣では嫌だと思っているはずです。つまり、その席では無いですね。
おいおいおい、新年早々喧嘩はなしな!
・・・とりあえず、俺眠いんだけど、ザンザスどこか知らない?
_