GUNDAM


「またか。」

最近デュオが一生懸命にテレビを見ていると思ったら、最近出たガンダムのことらしい。全く何のためにプリベンターが機能して居ると思っているのか。みすみすあんなものを作らせるな。休暇が減る。
大体、あの爺のようにアレを作っている奴がいるとは思わなかった。奴らは公害だ。リリーナは何をしている。
いや、それはこの際どうでもいい。第一、前線を退いたとは言え、俺たち五人は優秀だから何をやらせてもそれ相応の結果は求められる。今前線に行っても良いくらいだ。あのフラッグ隊のエーカー上級大尉以上には活躍が期待されるだろう。俺たちはデュオを除いて皆寡黙だからうっかりガンダムを『眠り姫』だなどと全国放送はされないだろう。カスタムしたフラッグ、なかなかいいかもしれない。が、今はそんなこと関係ない。そう、32歳のグラハムが乗れるのだ。29歳の自分たちが乗れない筈がない。しかも目の前の三つ編みは、やたら器用でどんな機体も自分の足にはできそうだ。大型トラックしかり、デスサイズしかり。あぁ、俺も乗り物のうちに入るのか・・・いや、何でもない。気にするな。
つまり、今情報部も解約が進む今、社員でもない(当たり前だ。元札付き五人だからな)
自分たちは解体されそうな時である。つまりだ。新たな就職先を求めているといっても過言ではないわけだ。そんな時、巷の就職サイトを観るでもなく、ワークショップに行くでもなく、デュオがこうして大人しくテレビを見ているということは、だ。

「ヒイロ、あれ、あそこに就職しようか。」

・・・・きた。

「ガンダムは四機しか見ていない。それ以上あるとは到底思えないが。」
「俺たちはガンダム、要らないだろ?」
つまりは工作員か。
「レディにはなんというつもりだ。」
「あー・・・そこはごまかすでしょう。」
「つまり、悪いことをするという自覚はあるんだな?」
「うんにゃ。」
「ならば何故だ。」
「だってなぁ・・・。」
「だって?」
「ほら、ヒイロ。よーーーーっく見てみろよ。」

言われた実況中継の画面を指してデュオは苦笑した。言われた通り、画面を見やる。
「これがどうかしたか?」
「だって、可笑しいだろ。」
「・・・?」
「こんなに映ってるのに攻撃しないの。」
「・・・そういう方針なのではないか?」
「ならこの緑は?全部映った途端にカメラ落とされるけれど。」
「・・・。」
「・・・。な?奴ら甘ちゃんなのよ。」
「・・・。」
「ヒイロ、今イラってしたろ。」
「・・・。解約手続きが済み次第、あちらへ行こう。お前のことだ。尻尾は掴んでるんだろう?」
「よかったー。一人だと不安だったんだ。」
「お前が?」
「いや、奴らの教育に。」
「・・・・。」
「な?ガンダムいらねぇし、悪いことじゃないだろ。」
「確かに。」
そう言ってデュオはまた苦笑した。


『だってもう見てられないわ!あの子たち!』


やるなら徹底的にしなきゃなー。俺らの場合、行き過ぎだったけど。
なら今夜は優しくしてやろう。
何?燃えちゃった?
・・・少しな。



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