macross

*小説ネタはいりますー。










「あ・・・は、あぁ、ん。」
ギシギシと音楽室の机が軋んだ音を立てる。本日の獲物は学園でも十本指には入る美人
だ。艶やかな黒髪になだらかな体の曲線が美しいその人は今、ミハエルの激しい求めを甘受している。
彼女曰く『貴方は可哀想』とのこと。

「あ、あ、あ、あ、」

声が少し低い彼女の嬌声は聞いていて煽られる。開かれた肢体はミハエルの熱に激しい追い撃ちをかけた。知らずに彼女のイイトコロを突き上げる腰が速くなる。
むせかえる、香り。

「・・・ッあ!」

登り詰めた彼女の体から力が抜け落ちる。でもまだ足りない。自分はイッてない。息を切らして肩を上下させる彼女に構わず腰を進める。限界はそこにあるのに、体が空しい。

「・・・ミハエル・・・」

腕を伸ばしたその人の金色の瞳とかち合う。イケナイ妄想をしてしまいそうで、誤魔化すために右手でグイっと垂れた前髪を掻き上げた。


―――・・・本当は、欲しい人は12の頃からただ一人だ。


遠い人。
舞台の上で初めて見た時は雷に打たれたようだった。流れる動きに目が離せなくて、夢中だった幼馴染のことも、息すら忘れて見惚れてしまった。舞台が終わって抱いたのは、隣にいた男に対するお角違いな酷い嫉妬だった。それほど彼は魅力的だった。


「ミハエル・・・。」

彼女の囁く声が、あの時の彼と重なる。
見つめられた相手役の咽喉がコクリ、と上下するのが見えた。スラリと落ちた一筋の髪の毛。あの、視線。
(抱いてください。どうぞお好きなだけ。心は随分前に奪われました。今度はこの体ごと、あなたのものにして。)


瞬間、ドクリと自身が大きく脈打つ。違う、抱いているのは彼じゃない。学園で十本指には入る美人で、女。
脳内でチラつく彼を振り払うように首を横に数回振って律動をさらに早めた。

「ミハエル、ミハエル、」

限界が近い。今回は余裕がなく、柔らかい肢体を貪る。自分が誰を見ているのかを享受するその腕は柔らかく、優しい。
自分の髪から落ちた汗が、彼女の顎を伝うのを見て、頭がスパークした。

「・・・ック、」

残滓をすべて出すために数回腰を振ると感じる薄い被膜の感触。でもそれでも十分だ。そこまでは望まない。依存してしまう。
息が荒いのはお互いさまで、体液とかでぐちゃぐちゃになったそれを彼女の中から引き抜く。結局は最後はアルトに持っていかれた。
舞台の上で見た、あの時から距離は少しも縮んでいない。
いくら同じ秘密を共有しても、同室になっても、人より多く彼と一緒にいても。
ずっと距離は開いたままだ。

彼女を抱き起して事後処理をしていると、彼女がポツリと声を漏らした。


「貴方は本当に可哀想。」
それはもう病気ね、と続ける。解らなくて顔を上げると、泣きそうな金色の瞳とかち合った。
「いつか、貴方の孤独を彼が解ってくれればいいのに。」
手が伸ばされ、頬に触れる。ほろほろと零れる水が何であるかなんて一瞬わからなくて。

「つらいなら、慰めてあげるから。だから一人だなんて思わないでね。」

柔らかい体に包まれて、俺はその日、声を上げて泣いた。





貴方に触れたいと、渇望する。
  (でも、臆病な僕は到底無理だと知っているのです。)


END
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