ギアス小話


「うんうん、僕作ったのはいいんだけどねぇ。なんだか面倒だから、シュナ上げる!大事にしてね☆」



そう言って大学時代の友人が持ってきた・・・連れてきたものは、なんとも素晴らしく愛らしい、

「よろしくお願いします。」

子どもだった。10歳くらいの。
小さな子に深々と頭を下げられ、動揺してお辞儀をした後、ロイドを見るべく顔を上げたら、そこにはもう誰も居なかった。



『ダイヤモンド』




「シュナイゼル、ご飯できてますからさっさと食べて下さい。遅刻しますよ。」

ジュージュー、と香ばしい音を立ててルルーシュが慌しく朝食を作っているのをネクタイを締めながらシュナイゼルは見やった。
あの男・・・ロイドが彼をここに連れてきてから有に三年が経っている。
・・・なじんだね、とシュナイゼルは一人遠い目をした。




ルルーシュはアンドロイドである。
あの後、ルルーシュが持っていたパンダの鞄の中に、“取扱説明書”なるものが入っていた。
ロイド、というのは大学時代に付き合っていた友人で現在は世界屈指の科学者らしい。よくテレビで奴の名前が出てくる。変わった人物だが、腕は確かであるのでルルーシュがアンドロイドだといわれても、「まぁそうだろうな」という確信は持てた。
問題なのが、彼が何をモトに作られたかと言うことである。
まぁ、あのロイドのことだから植物かなとかまさかAg・・・銀から造ったのか?とか思っていたわけだが。


『合計で50000カラットのダイヤモンドがブリタニアバンクスから盗まれてから、本日で丁度六年目になります。依然犯人は解ら無いまま、捜査が難航しているようです。一部の情報によりますと、もう既に全て売られてしまった、や埋められた可能性が高いとして周辺に捜査を拡大して調べられております。』


コレダ。コレ。
ルルーシュはロイドがその技術の全てを注ぎ込んで、彼が最も敬愛する18世紀の聖女マリアンヌ・ブリタニアの髪の毛(どうやって盗んだのかは到底知らないが、)と、この50000カラットのダイヤモンドから生み出された。現在のルルーシュは見た目十二歳だが、それはロイドの遺伝子の操作によってそういう歳にしているだけである。
当初家に来たときは喋れる赤ちゃんと言った感じで、目が離せなかった。
知識としては脳に刻み込まれているもの、触れてみたいと自分が吸っていたタバコのジッポの先の炎を触ろうとしていたときは本当に生きた心地がしなかった。
だから家で充分な教育をした後で籍を入れ、学校に通わせてよかったと心から思う。
いまではすっかり絆されていると確信するには彼との生活は充実している。




「シュナイゼル?」
訝しげに顔を傾げたルルーシュに、シュナイゼルは気付くとにっこりと笑った。
「いい匂いだねルルーシュ。おなかが減ったよ。」
テーブルに並んでいるのはベーコエッグとレタスとたまねぎのサラダ。そしてこんがり焼けたトーストとコンソメスープ。
テーブルの端っこにはランチボックスがハンカチに包まれて置かれている。
はんなりと笑ったルルーシュの頭を撫でると、「早速戴くよ」と返し椅子に座る。
ルルーシュもエプロンを解いて座ると、二人で「いただきます」の挨拶をしてから朝食に手をつけた。

キラキラと朝日に艶めく髪を見て、純粋に『ダイヤのようだ』と思った。



END.


この後ルルーシュの秘密を知ったカレンとか秘密組織がルルーシュを誘拐したり、ロイドがルルーシュを引き取りに来たり、マリアンヌ姫の子孫であるナナリー女王陛下がルルーシュを迎えに来たりして「渡してくれるまで帰りません!」って駄々を捏ねたりするんだよ!
で、ルルーシュはルルーシュで「ここに居たい」とか思うけど、シュナイゼルの迷惑になったりするから遠慮したりしてすれ違ったりすればいい!そして最後は「でもやっぱりあなたがいいんです!」とか何とか言ってハッピーエンドを迎えちゃいます。

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