胡蝶
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9月9日。
そろそろ石神さんが迎えに来る時間だ。
悠紀(この前は、石神さんが気を遣ってマンションに誘ってくれたのに、変な断り方しちゃったなぁ…)
そっと玄関を出て、辺りを見回す。
今日は良い天気だけれど…
悠紀「やっぱり、いない…」
あの日以降、あの蝶はいない。
悠紀「はぁ………って!今日は石神さんの誕生日なのに、落ち込んでる場合じゃないでしょっ!」
私は自分の頬を両手でバシバシと叩いた。
石神「何をしているのですか?」
悠紀「え?あ!石神さん!…えっと、ちょっと寝不足気味だから、気合いを…あはは…」
石神「………………っ…」
悠紀(石神さん、表情が…)
石神「これは後で渡すつもりでしたが…」
少し表情を緩めた石神さんは、車から持ってきた小さな紙袋を開けた。
悠紀「わぁ……綺麗…」
石神「きっと貴女に似合うと思って」
取り出したのは、ふわふわのシフォンのリボンだった。
明るいミントブルーのリボンは、まるで翅を広げた蝶のようだ。
少しそれを眺めた後、私は早速ひとつに結んだ髪に着けた。
石神「思った通りですね。(いや、それ以上か)」
石神さんは満足気だ。
石神「今日は、少し近所を散策してみませんか?」
悠紀「は、はい…(えっ?そっち?)」
急に背を向けて歩き出した石神さんに、私は慌ててついて行く。
普段は用が無いので通ったことがない道だ。
石神「下町の雰囲気も悪くありませんね」
石神さんのマンションとは違う、昔ながらの住宅街。
今まで散歩してみようとは思ってもみなかったけど、こんなデートも新鮮だ。
悠紀「あら?こんな近くに?気付かなかった…」
私たちが見つけたのは、小さな神社だった。
悠紀「先月の盆踊りの音はここからだったんだ…」
石神「ここには立派なクスノキがありますね。これが御神木なのでしょう。もしかしたら…」
その時。
私の頭上に、ひらひらと何かが降りてきた。
悠紀「あっ、アオスジアゲハ!」
私の髪のリボンを仲間と思ったのか、頭にふわりと止まる。
悠紀「嬉しい!また会えるなんて!」
蝶は、私たちの周りを一周すると、手水舎の方へ飛んでいく。
悠紀「あっ、待って!」
蝶は手水舎の水盤に止まり、水を飲んでいるようだ。
悠紀「私たちも、手を清めて参拝しませんか?」
石神「えぇ、そうしましょうか」
まず、柄杓を右手で持って左手を洗う
次に左手に持ち替えて右手を洗い
もう一度左手を洗ってそこに水を受けて
その水で口をすすいで………
悠紀(え?蝶が、ずっとこっち見てる?なんだか緊張する…)
左手を洗って…… 洗って?
石神「水を入れた柄杓を立てて、柄に水を流す。柄杓置き場に伏せて置いて終わりです」
悠紀「そうでした…」
蝶に導かれるように参拝を済ませた後の私たちは、とても穏やかな気持ちになれたのだった。
悠紀「良かった…」
石神「ここへ、また会いに来ましょう。」
御神木のてっぺんへと舞い上がる蝶を見送った後、私たちは石神さんのマンションに移動した。
悠紀「石神さん。」
石神「はい」
悠紀「今さらなんですが…」
石神「何でしょう?」
悠紀「お誕生日おめでとうございます!」
私は、石神さんに小さな箱を差し出した。
石神「あ、あぁ…ありがとうございます」
私たちは、何故か今日が石神さんの誕生日デートである事を忘れていた。
石神「綺麗なネクタイピンですね。先端に付いている石は、ターコイズですか?」
悠紀「はい!アオスジアゲハの色に似てるでしょう?蝶によく出会うのは、幸運のしるしだそうです。石神さんに沢山の幸運が訪れますように!」
石神「ありがとう。もう充分に幸せなんだが。」
石神さんはテーブルにネクタイピンを置くと、私の髪に手を伸ばした。
スッと外されたリボンはネクタイピンと一緒に置かれ…
まるで、枝に止まる蝶のようだ。
石神「もっと浸ってもいいだろうか、幸せに。」
悠紀「はい、もちろん……////」
ベッドの上で重ねた手のひらは
ひらり、ひらり……
-----End----- (2025.9.10)
またしても、遅刻……スミマセンm(_ _)m
ちなみにワタクシ、今年のプリンは
「自家製 あずき豆乳プリン」食べました♪
そろそろ石神さんが迎えに来る時間だ。
悠紀(この前は、石神さんが気を遣ってマンションに誘ってくれたのに、変な断り方しちゃったなぁ…)
そっと玄関を出て、辺りを見回す。
今日は良い天気だけれど…
悠紀「やっぱり、いない…」
あの日以降、あの蝶はいない。
悠紀「はぁ………って!今日は石神さんの誕生日なのに、落ち込んでる場合じゃないでしょっ!」
私は自分の頬を両手でバシバシと叩いた。
石神「何をしているのですか?」
悠紀「え?あ!石神さん!…えっと、ちょっと寝不足気味だから、気合いを…あはは…」
石神「………………っ…」
悠紀(石神さん、表情が…)
石神「これは後で渡すつもりでしたが…」
少し表情を緩めた石神さんは、車から持ってきた小さな紙袋を開けた。
悠紀「わぁ……綺麗…」
石神「きっと貴女に似合うと思って」
取り出したのは、ふわふわのシフォンのリボンだった。
明るいミントブルーのリボンは、まるで翅を広げた蝶のようだ。
少しそれを眺めた後、私は早速ひとつに結んだ髪に着けた。
石神「思った通りですね。(いや、それ以上か)」
石神さんは満足気だ。
石神「今日は、少し近所を散策してみませんか?」
悠紀「は、はい…(えっ?そっち?)」
急に背を向けて歩き出した石神さんに、私は慌ててついて行く。
普段は用が無いので通ったことがない道だ。
石神「下町の雰囲気も悪くありませんね」
石神さんのマンションとは違う、昔ながらの住宅街。
今まで散歩してみようとは思ってもみなかったけど、こんなデートも新鮮だ。
悠紀「あら?こんな近くに?気付かなかった…」
私たちが見つけたのは、小さな神社だった。
悠紀「先月の盆踊りの音はここからだったんだ…」
石神「ここには立派なクスノキがありますね。これが御神木なのでしょう。もしかしたら…」
その時。
私の頭上に、ひらひらと何かが降りてきた。
悠紀「あっ、アオスジアゲハ!」
私の髪のリボンを仲間と思ったのか、頭にふわりと止まる。
悠紀「嬉しい!また会えるなんて!」
蝶は、私たちの周りを一周すると、手水舎の方へ飛んでいく。
悠紀「あっ、待って!」
蝶は手水舎の水盤に止まり、水を飲んでいるようだ。
悠紀「私たちも、手を清めて参拝しませんか?」
石神「えぇ、そうしましょうか」
まず、柄杓を右手で持って左手を洗う
次に左手に持ち替えて右手を洗い
もう一度左手を洗ってそこに水を受けて
その水で口をすすいで………
悠紀(え?蝶が、ずっとこっち見てる?なんだか緊張する…)
左手を洗って…… 洗って?
石神「水を入れた柄杓を立てて、柄に水を流す。柄杓置き場に伏せて置いて終わりです」
悠紀「そうでした…」
蝶に導かれるように参拝を済ませた後の私たちは、とても穏やかな気持ちになれたのだった。
悠紀「良かった…」
石神「ここへ、また会いに来ましょう。」
御神木のてっぺんへと舞い上がる蝶を見送った後、私たちは石神さんのマンションに移動した。
悠紀「石神さん。」
石神「はい」
悠紀「今さらなんですが…」
石神「何でしょう?」
悠紀「お誕生日おめでとうございます!」
私は、石神さんに小さな箱を差し出した。
石神「あ、あぁ…ありがとうございます」
私たちは、何故か今日が石神さんの誕生日デートである事を忘れていた。
石神「綺麗なネクタイピンですね。先端に付いている石は、ターコイズですか?」
悠紀「はい!アオスジアゲハの色に似てるでしょう?蝶によく出会うのは、幸運のしるしだそうです。石神さんに沢山の幸運が訪れますように!」
石神「ありがとう。もう充分に幸せなんだが。」
石神さんはテーブルにネクタイピンを置くと、私の髪に手を伸ばした。
スッと外されたリボンはネクタイピンと一緒に置かれ…
まるで、枝に止まる蝶のようだ。
石神「もっと浸ってもいいだろうか、幸せに。」
悠紀「はい、もちろん……////」
ベッドの上で重ねた手のひらは
ひらり、ひらり……
-----End----- (2025.9.10)
またしても、遅刻……スミマセンm(_ _)m
ちなみにワタクシ、今年のプリンは
「自家製 あずき豆乳プリン」食べました♪
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