胡蝶
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悠紀「さぁ今日も頑張ろう!」
アパートの玄関のドアを開けると、外は太陽の光と新鮮な空気が溢れている。
大きく息を吸い込みながらアパートの敷地内を歩いていると、ひらひらと舞うものが。
悠紀「おはよう。今日も会えたね。」
ここ最近、一匹のアゲハ蝶がよく飛んでいて、私の方に近付いて来たりする。
その翅は、黒い縁取りの中にミントブルーの太い帯状の模様が並んで美しい。
悠紀「アオスジアゲハっていうのね。じゃあ、行ってきます。」
蝶をよく見かけるのは、スピリチュアル的にとても良い事らしい。
私は朝からウキウキ気分だった。
***************************************
ある日。
石神「おはようございます」
悠紀「おはようございます!今日も暑いですね。どこに行きましょうか?」
石神「涼しい所…美術館はどうでしょう」
悠紀「いいですね…あっ、今日もいた!」
石神「?」
悠紀「ほら、きれいな蝶々!最近、毎日のように見るんですよ。近くに花なんて無いのに…」
石神「アオスジアゲハか。…あぁ、あそこにクスノキが有るからでしょう。幼虫はクスノキの葉を食べますから。」
石神さんの目線を追うと、確かに敷地の隅にアパートの屋根と同じぐらいの高さの木がある。
悠紀「あっ、そうなんですね…」
夏の間はセミの声が賑やかだったのが、今ではすっかり静かになっている。
悠紀(まだまだ暑いけど、もう9月だからなぁ)
バサバサッ!!
悠紀「わっ!びっくりした!鳥か…」
クスノキは大きく枝を広げ、その枝には色々な鳥が羽根を休めにやって来る。
悠紀(まるで、おばあちゃんの田舎で見たものが、この木に凝縮してるみたい…)
悠紀「今日の美術展、すごく面白かったです!」
石神「それは良かったです。では、来月の特別展も……ん?」
悠紀「えぇっ、うそでしょ?!」
夕方、美術館から帰って来ると、私たちは信じられない光景を見てしまった。
悠紀「どうして…クスノキが無いの?…蝶は?セミは?鳥は?」
???「はぁ…淋しくなっちゃったねぇ…」
声の主は、アパートの大家のおばあさんだった。
大家「あの木ねぇ…枝が伸び過ぎて、こちら側は木の下が鳥のフンだらけだし、向こう側は塀を越えてお隣さんの庭にはみ出しちゃったから、業者さん頼んだのよ。枝を短く切ってほしいって。ウチのおじいさんじゃ手入れをするのは、もう無理だし…」
悠紀「えっ?枝を?でも…」
そこにあるのは切り株だけだ。
大家「アタシとしたことが…電話で『剪定』を頼んだつもりだったんだけど、どうもうっかり『伐採』って言い間違えたらしいのよ。思い出のある木だったのに、アタシのせいで…」
悠紀「……………」
石神「……………………」
石神「今夜はウチで泊まりませんか?」
悠紀「……いえ、明日は朝早いので…」
石神「そうですか…」
この日、私たちは気まずい雰囲気で、それぞれの家に帰った。
アパートの玄関のドアを開けると、外は太陽の光と新鮮な空気が溢れている。
大きく息を吸い込みながらアパートの敷地内を歩いていると、ひらひらと舞うものが。
悠紀「おはよう。今日も会えたね。」
ここ最近、一匹のアゲハ蝶がよく飛んでいて、私の方に近付いて来たりする。
その翅は、黒い縁取りの中にミントブルーの太い帯状の模様が並んで美しい。
悠紀「アオスジアゲハっていうのね。じゃあ、行ってきます。」
蝶をよく見かけるのは、スピリチュアル的にとても良い事らしい。
私は朝からウキウキ気分だった。
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ある日。
石神「おはようございます」
悠紀「おはようございます!今日も暑いですね。どこに行きましょうか?」
石神「涼しい所…美術館はどうでしょう」
悠紀「いいですね…あっ、今日もいた!」
石神「?」
悠紀「ほら、きれいな蝶々!最近、毎日のように見るんですよ。近くに花なんて無いのに…」
石神「アオスジアゲハか。…あぁ、あそこにクスノキが有るからでしょう。幼虫はクスノキの葉を食べますから。」
石神さんの目線を追うと、確かに敷地の隅にアパートの屋根と同じぐらいの高さの木がある。
悠紀「あっ、そうなんですね…」
夏の間はセミの声が賑やかだったのが、今ではすっかり静かになっている。
悠紀(まだまだ暑いけど、もう9月だからなぁ)
バサバサッ!!
悠紀「わっ!びっくりした!鳥か…」
クスノキは大きく枝を広げ、その枝には色々な鳥が羽根を休めにやって来る。
悠紀(まるで、おばあちゃんの田舎で見たものが、この木に凝縮してるみたい…)
悠紀「今日の美術展、すごく面白かったです!」
石神「それは良かったです。では、来月の特別展も……ん?」
悠紀「えぇっ、うそでしょ?!」
夕方、美術館から帰って来ると、私たちは信じられない光景を見てしまった。
悠紀「どうして…クスノキが無いの?…蝶は?セミは?鳥は?」
???「はぁ…淋しくなっちゃったねぇ…」
声の主は、アパートの大家のおばあさんだった。
大家「あの木ねぇ…枝が伸び過ぎて、こちら側は木の下が鳥のフンだらけだし、向こう側は塀を越えてお隣さんの庭にはみ出しちゃったから、業者さん頼んだのよ。枝を短く切ってほしいって。ウチのおじいさんじゃ手入れをするのは、もう無理だし…」
悠紀「えっ?枝を?でも…」
そこにあるのは切り株だけだ。
大家「アタシとしたことが…電話で『剪定』を頼んだつもりだったんだけど、どうもうっかり『伐採』って言い間違えたらしいのよ。思い出のある木だったのに、アタシのせいで…」
悠紀「……………」
石神「……………………」
石神「今夜はウチで泊まりませんか?」
悠紀「……いえ、明日は朝早いので…」
石神「そうですか…」
この日、私たちは気まずい雰囲気で、それぞれの家に帰った。
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