野分
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“ピンポーン♪”
悠紀「えっ?こんな時に誰?」
恐る恐る魚眼レンズを覗くと……
悠紀「い、石神さん!?今、開けます!」
私は玄関のドアを開けようとしたけれど、強風に押されて なかなか開かない。
悠紀「んーっ!」
外から、石神さんもドアを引っ張っている。
“バーン!!”
石神「くっ………!!」
少し開いたところで 逆に風に煽られ、ドアが一気に全開になった。
悠紀「石神さん!!」
ドアに押し退けられた石神さんが片膝をついている。
石神「悠紀、大丈夫か?」
悠紀「早く、中に入って下さい!」
今度はドアを閉じるのに苦戦しつつ、入ってきた石神さんは ずぶ濡れだった。
悠紀「どうして…出張、でしたよね?」
石神「向こうも身動きが取れず、仕事にならないので帰って来ました。」
(帰って来たって…こんな状態じゃ電車は止まってるし、車だって危険なのに…?)
悠紀「石神さん、とりあえず これで拭いて下さい。」
私は石神さんにバスタオルを渡した。
悠紀「着替えは?…風邪、引かないで…」
石神「そんなことより、なぜ官邸に行かなかった?電話が繋がらなかった時は、どれほど心配したか…」
悠紀「ごめんなさい……」
その時、石神さんの髪から滴る水滴が、涙のように見えた。
石神「本当に………」
石神さんの手が伸びてきて、私を引き寄せる。
“ぐぅぅぅ~……”
悠紀「あっ、ちょっと…お腹すいちゃって…////」
石神「ククッ、パンで良ければ どうぞ。」
石神さんが差し出した びしょ濡れのコンビニ袋の中には、クリームパンが入っていた。
悠紀「ありがとうございます。石神さんはクリームパンが好きなんですか?」
石神「ええ。カスタードクリームが。」
(カスタードクリーム……味がプリンに近いから?)
“ビューン!”
“ゴトゴト………”
悠紀「また家が揺れてる…怖い ……」
石神「大丈夫。悠紀、こちらへ。」
私たちは体を寄せ合い、一枚のタオルケットに包まれて眠った。
翌朝。
石神「悠紀……」
悠紀「おはようございます…あ………////」
目を覚ますと、目の前に石神さんがいて…
石神さんは上半身裸だった。
ぼんやりした頭で思い出す。
(そっか…昨夜は ずぶ濡れになって、着替えも無かったから…わかってるけど、ちょっと目の遣り場に困るかも…////)
外は、昨夜の暴風雨が嘘のように 穏やかに晴れていた。
悠紀「軒下に隙間が開いちゃってる…住めないほど壊れたわけじゃないけど…」
石神「まだ電気は復旧していませんね。」
悠紀「夜までに直ればいいんですけど…」
石神「今夜は貴女を連れて行きます。」
悠紀「えっ?」
石神「お祭りチームの忠告を聞かなかったそうですね?」
悠紀「はい………」
石神「俺の言うことは聞いてもらうからな」
悠紀「はい………////」
今夜は、石神さんの お説教だ…………
---End---
今回は、2018年9月の台風で当時の自宅アパートが被害を受けた時の実体験をもとにしました。
不謹慎だったかもしれませんが……
皆様、災害時は 冷静に、的確に行動しましょう。
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