ガリレオ
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━━━PM1:31 29.3℃
浮き玉は全部沈み、底の方にガチャガチャと溜まっている。エアコンを急速冷房でつけたばかりで、とにかく暑い。
悠紀のこめかみを汗が流れている。
悠紀「よく見ると、浮き玉って形が玉葱みたい…」
石神「山積みの玉葱、ですか。」
しかも、キラキラと輝く…
俺には無い発想だ。
━━━PM1:42 28.1℃
悠紀「ん?」
石神「動いていますね。」
[紫:28℃]の浮き玉が ゆっくり、凝視しなければ わからない程ゆっくりと上へ向かい始めた。
1分ほど掛けて、ようやく最上部…透明な液の水面に到達した。
まだまだ暑いが、耐えられないほどではない。
悠紀の表情も少し和らいだように感じる。
━━━PM2:10 27.1℃
2番目の浮き玉[青緑:26℃]が突然、スーッと浮き上がった。
デジタル温度計は まだ27℃を切っていないのだが。
悠紀「あれ?まだ27℃あるのに…」
石神「まぁ、これはインテリア用ですから、そこまで精密ではないのでしょう。」
悠紀「ふふっ、せっかちな子もいるんですね。」
━━━PM2:18 25.9℃
悠紀「三つ目は、なかなか浮きませんね。」
石神「次は24℃か…」
残りの浮き玉は、相変わらず底の方に積み重なるように沈んでいる。
……が、よく見ると、一つだけ ほんの少し他から離れている。
エアコンを通常の冷房モードに切り替えたから、変化が鈍くなるのかもしれない。
それにしても、悠紀の集中力は大したものだ。好奇心の強さも彼女の長所だと思う。
……しかし…
石神「ずっと同じ姿勢で疲れていませんか?」
悠紀は、少し前から、前屈みで覗き込んでいたからだ。
悠紀「少しだけ………」
石神「では、ここへ。」
俺は、自分の膝を指した。
悠紀「ええ!?あの、膝枕…////」
石神「そうですよ。あまり寝心地は良くないかもしれませんが。」
膝枕というのは、男女逆かもしれないが、そんな事は どうでもいい。
石神「さぁ、ここへ。」
俺は、半ば強引に悠紀の肩を引き寄せて、頭を膝に載せた。
悠紀「やっぱり恥ずかしいです…」
石神「ほら、観察を続けて。」
━━━PM2:53 23.5℃
とうとう、[黄:24℃]の浮き玉が浮上した。
悠紀「あっ、黄色さんが上がった!」
悠紀が俺の膝の上で声を上げる。
石神「ここまでか………」
悠紀「観察、終わりですか…?」
これで浮き玉は三つ浮かび、四つ沈んだ状態になった。
既に室内は、かなり涼しい。
次の[青:22℃]が浮くようでは、部屋を冷やし過ぎだ。
エアコンの設定温度を上げ、ガリレオ温度計の観察を終了する。
悠紀「石神さん、退屈だったんじゃないですか?今さら、ですけど…」
石神「いいえ。目を凝らしたり、笑ったり、口を尖らせたり…楽しい観察でしたよ。」
悠紀「えっ?それって………」
石神「……悠紀、寒くないか?」
慌てて身を起こした、悠紀の身体を背後から抱き締める。
やはり、両腕が冷たい。
では、頬は?
悠紀「ん…………」
“ぐぅ~♪”
悠紀「………………////」
そろそろ、午後3時だ。
石神「フッ……お茶にしましょうか。」
悠紀「は…はい!えっと、紅茶でいいですか?」
俺たちは、二人でキッチンに向かった。
それでは、甘いモノを楽しむとしようか。
ゆっくりと。
----End----
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