白い花

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主人公

久しぶりの日本は暑い。

出発してからの月日を感じずにはいられない。

石神(もう9月か…………)


ろくに連絡も取らず、いつ帰るとも言えず……
結婚式を延期させてしまった。

改めて小さな貸しホールを予約し、ごく身近な人間だけで ささやかな披露宴を開く運びにはなったが、その準備さえも悠紀に任せきりで……

結局、帰国もギリギリになった。


俺のマンションまで あと少し。

部屋で悠紀が待っている。



その時、俺は生花店の前を通りかかった。

そうだ。


ひと呼吸おいて、生花店に入る。


『いらっしゃいませ!』

石神「クチナシの花は有りますか?」

駄目もとで聞いてみる。


『あぁ、鉢植えでしたら取り寄せることは できますが…』

石神「切り花は?」

『うーん、お花は6月頃が時期で、もう終わってますね。それに、クチナシの切り花は、元々ほとんど出回らないんです。

何故かというと………………』


石神「!………そうでしたか。分かりました。」



クチナシの花は写真で見て知っていたが、
その香りを知ることはできなかった。







9月9日。 いよいよ結婚式。

平日になってしまったけれど、
みどりや小杉先輩、それにSPや公安の皆さんも出席してくれた。

私は、今日初めて石神さんにウェディングドレス姿を見せる。




悠紀「いしが…秀樹さん…」

石神「これは……クチナシ?」

悠紀「生花が手に入らなくて、アーティフィシャルフラワー(造花)になっちゃいましたけど……」


私は、白いウェディングドレスにクチナシのブーケ、髪飾りを身につけていた。

造花といっても出来る限りリアルなものを探して、それから…


石神「この香り…」


悠紀「本物に近づけようと思って、クチナシの香水もつけてみました。」


石神「なるほど、悠紀が この花に夢中になったのも、分かる気がするな」


悠紀「ふふっ…」


私が石神さんのタキシードの胸に、お揃いのブートニアを着けると…

石神「綺麗だ」

石神さんは耳元で囁いた。

悠紀「…………////」
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