シシリエンヌ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
残響の厳しい ある日。
私は田舎のお祖母ちゃんの家でくつろいでいた。
大学は しばらく休みだけれど、石神さんは出張中でしばらく会えない。
それが淋しくて、久しぶりにこちらに帰省したのだった。
ゆったりと流れる時間の中、畳の上でゴロゴロしていると、
ふと、先日石神さんと行ったクラシックコンサートの事を思い出した。
悠紀「フーフン フーフン フーフフンフン フー フーフフン フーフフン フーン♪」
(素敵なコンサートだったな……)
口ずさんだのは、戯曲『ペレアスとメリザンド』の劇付随音楽としてフォーレが作曲した『シシリエンヌ』
そのコンサートは、各曲の間に解説や劇の一場面の再現もされていて、とても楽しめた。
・
・
・
“物語は、架空の国の王太子ゴローが、森の中で出会った神秘的な女性メリザンドと結婚するところから始まります。
しかしその後、メリザンドは粗暴な夫ゴローではなく、その優しげな弟ペレアスと愛し合うようになってしまいます。”
そして劇の第二幕の前奏曲は『シシリエンヌ』だ。
曲は静かなハープの音で始まり、そこへ重なってくるフルートのメロディは儚げで美しい。
けれど、この曲の後…メリザンドは泉のそばで ペレアスと二人きりで戯れているうちに、夫から贈られた指輪を泉に落としてしまう。
悠紀(えっ……どうなっちゃうの?)
私は思わず、隣の石神さんの手に触れた。
石神「………………?」
石神さんは、一瞬驚いた様子だったけれど、優しく微笑んで私の手を握ってくれた。
そのままコンサートは進み……
ペレアスは、これで最後と決めた密会中、二人の仲を知った兄に刺され、泉に沈んでいった。
その時 傷を負ったメリザンドも、軽傷でありながら、ショックのあまり命を落としてしまう。
気がつくと、私は涙を流していた。
石神「悠紀……」
石神さんが ハンカチを差し出してくれたけれど、泣いているのは私だけかも……
と、ちょっと恥ずかしかったな…
・
・
・
悠紀(あぁ、無性にシシリエンヌが聴きたくなってきた……)
起き上がった私は、スマホを出して検索してみた。
すると、様々な楽器で演奏されたバージョンが出てきた。
ピアノ、チェロ……
作曲時は こちらが先だったみたいだけど。
悠紀「私は、コンサートと同じハープとフルートのが聴きたいのに、どうすれば…」
祖母「だったら、五郎ちゃんのお店に行ってみたら?」
悠紀「え?ゴローさん??」
結局、私は お祖母ちゃんの勧めで、田舎の商店街に一軒だけあるレコード店へ行った。
古いお店には、演歌歌手の宣伝のぼり とか、昔のアイドルの色褪せたポスターが貼ってある。
このお店の店主・五郎さんはお祖母ちゃんの同級生で、クラシックに詳しいらしいけど……
不安に思いつつ、私は探し物を伝えた。
店主「うーん、組曲『ペレアスとメリザンド』のCDは置いてないが…そのシシリエンヌだけが入ってるクラシック曲集なら、有るよ。」
悠紀「それ、買います!」
実家に戻った私は、さっそく買ってきたCDを聴こうと、お店の紙袋から取り出した。
ところが。
悠紀「え!これって………」
思わず、CDを紙袋に戻してしまった。
お祖母ちゃん「おや、聴かないのかい?」
悠紀「うん、東京に戻ってからにする………」
私は田舎のお祖母ちゃんの家でくつろいでいた。
大学は しばらく休みだけれど、石神さんは出張中でしばらく会えない。
それが淋しくて、久しぶりにこちらに帰省したのだった。
ゆったりと流れる時間の中、畳の上でゴロゴロしていると、
ふと、先日石神さんと行ったクラシックコンサートの事を思い出した。
悠紀「フーフン フーフン フーフフンフン フー フーフフン フーフフン フーン♪」
(素敵なコンサートだったな……)
口ずさんだのは、戯曲『ペレアスとメリザンド』の劇付随音楽としてフォーレが作曲した『シシリエンヌ』
そのコンサートは、各曲の間に解説や劇の一場面の再現もされていて、とても楽しめた。
・
・
・
“物語は、架空の国の王太子ゴローが、森の中で出会った神秘的な女性メリザンドと結婚するところから始まります。
しかしその後、メリザンドは粗暴な夫ゴローではなく、その優しげな弟ペレアスと愛し合うようになってしまいます。”
そして劇の第二幕の前奏曲は『シシリエンヌ』だ。
曲は静かなハープの音で始まり、そこへ重なってくるフルートのメロディは儚げで美しい。
けれど、この曲の後…メリザンドは泉のそばで ペレアスと二人きりで戯れているうちに、夫から贈られた指輪を泉に落としてしまう。
悠紀(えっ……どうなっちゃうの?)
私は思わず、隣の石神さんの手に触れた。
石神「………………?」
石神さんは、一瞬驚いた様子だったけれど、優しく微笑んで私の手を握ってくれた。
そのままコンサートは進み……
ペレアスは、これで最後と決めた密会中、二人の仲を知った兄に刺され、泉に沈んでいった。
その時 傷を負ったメリザンドも、軽傷でありながら、ショックのあまり命を落としてしまう。
気がつくと、私は涙を流していた。
石神「悠紀……」
石神さんが ハンカチを差し出してくれたけれど、泣いているのは私だけかも……
と、ちょっと恥ずかしかったな…
・
・
・
悠紀(あぁ、無性にシシリエンヌが聴きたくなってきた……)
起き上がった私は、スマホを出して検索してみた。
すると、様々な楽器で演奏されたバージョンが出てきた。
ピアノ、チェロ……
作曲時は こちらが先だったみたいだけど。
悠紀「私は、コンサートと同じハープとフルートのが聴きたいのに、どうすれば…」
祖母「だったら、五郎ちゃんのお店に行ってみたら?」
悠紀「え?ゴローさん??」
結局、私は お祖母ちゃんの勧めで、田舎の商店街に一軒だけあるレコード店へ行った。
古いお店には、演歌歌手の宣伝のぼり とか、昔のアイドルの色褪せたポスターが貼ってある。
このお店の店主・五郎さんはお祖母ちゃんの同級生で、クラシックに詳しいらしいけど……
不安に思いつつ、私は探し物を伝えた。
店主「うーん、組曲『ペレアスとメリザンド』のCDは置いてないが…そのシシリエンヌだけが入ってるクラシック曲集なら、有るよ。」
悠紀「それ、買います!」
実家に戻った私は、さっそく買ってきたCDを聴こうと、お店の紙袋から取り出した。
ところが。
悠紀「え!これって………」
思わず、CDを紙袋に戻してしまった。
お祖母ちゃん「おや、聴かないのかい?」
悠紀「うん、東京に戻ってからにする………」
1/2ページ