二人静
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今日は石神さんの誕生日。
私たちを乗せた車は、石神さんのマンションへ向かっていた。
悠紀「石神さん、お誕生日おめでとうございます!」
私は、久しぶりに会えたのが嬉しくて、つい車で迎えに来た石神さんに、いきなりプレゼントを渡してしまった。
石神「…ありがとうございます。」
石神さんは一瞬驚いたようだったけれど、その場で受け取り、車の中で包みを開けてくれた。
今年もプレゼントはネクタイ。
さっそく付け替えて車を運転する石神さん。
その隣りで、私は先日のことを思い出していた。
・
・
・
黒澤「今日の石神さんのネクタイも、悠紀さんのプレゼントですよね?」
悠紀「はい、そうです」
黒澤「これからも、どんどんネクタイを買ってあげて下さいね!」
悠紀「どうしてですか?」
黒澤「以前の石神さんは、毎日ほとんど同じネクタイだったんです。でも悠紀さんのおかげで今では日替わりランチみたいに色や柄が違うから、オレ、助かってるんです。」
悠紀「助かる?」
黒澤「ネクタイを見れば、その日の石神さんの気分が垣間見れるというか…ただ、かなり微妙にしかわからないんで、ネクタイに『今日は上機嫌』とか書いてあれば、更に助かるかも…」
悠紀「えぇ?!」
いくらなんでも、そんな オモシロネクタイなんて、絶対あげられない……
・
・
・
石神「……着きましたよ?」
悠紀「……え?あ、はい!」
(思い出し笑い、見られちゃったかな?)
私は、部屋に上がると、さっそくキッチンへ向かった。
悠紀「コーヒーでいいですか?」
石神「いえ、緑茶をお願いします。」
悠紀「はい、どうぞ。石神さん、出張お疲れ様でした。それにしても、緑茶なんて珍しいですね?」
すると、石神さんは紙の手提げ袋から、丸い小箱を取り出した。
石神「今日は和菓子ですから。」
悠紀「“二人静”…素敵な器…」
石神「これは名古屋の老舗の落雁です。店の主人が自宅の庭に咲いた二人静の花に感動してこれを作ったそうです。貴女を思い浮かべて買いました。」
悠紀「ありがとうございます!」
器の蓋には、平安時代の白い衣の男君と、赤い衣の女君が寄り添う姿が描かれている。
私が蓋を開けると……中には飴玉のように白い和紙でくるまれた小さなお菓子がいくつも入っていた。
ひねった紙をほどくと、紅白の半球が合わさった小さな落雁が現れた。
悠紀「あ、かわいい!」
石神「………でしょう?」
石神さんは、穏やかな笑顔で私を見ている。
石神「まるで貴女のように…」
悠紀「えっ!」
照れくさくなった私は、慌てて二人静を半球だけ口に放り込んだ。
悠紀「…………!」
口の中で和三盆の甘みが広がり、ふわりと溶けていく。
(わぁ、なんて上品な甘さのお菓子なんだろう……)
私が余韻に浸っていると、石神さんが手を伸ばし、残りの半球を口にした。
石神「そして貴女も……」
悠紀「え……………」
隣りにいる石神さんの顔が、焦点が合わなくなるほど近づいて……
悠紀「んっ…」
口の中に、柔らかくて、熱くて……痺れるような甘さが滑り込んだ。
少しずつ、体の力が抜けていく。
私の背中を支える腕に身を預けると、石神さんの顔が離れた。
悠紀「はぁ……」
石神「ほら、こんなに甘い。」
石神さんの深い瞳は熱を帯び……
石神「悠紀」
悠紀「石神さん……」
私は、その熱が既に彼ひとりのものではないことを悟った。
私たちを乗せた車は、石神さんのマンションへ向かっていた。
悠紀「石神さん、お誕生日おめでとうございます!」
私は、久しぶりに会えたのが嬉しくて、つい車で迎えに来た石神さんに、いきなりプレゼントを渡してしまった。
石神「…ありがとうございます。」
石神さんは一瞬驚いたようだったけれど、その場で受け取り、車の中で包みを開けてくれた。
今年もプレゼントはネクタイ。
さっそく付け替えて車を運転する石神さん。
その隣りで、私は先日のことを思い出していた。
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黒澤「今日の石神さんのネクタイも、悠紀さんのプレゼントですよね?」
悠紀「はい、そうです」
黒澤「これからも、どんどんネクタイを買ってあげて下さいね!」
悠紀「どうしてですか?」
黒澤「以前の石神さんは、毎日ほとんど同じネクタイだったんです。でも悠紀さんのおかげで今では日替わりランチみたいに色や柄が違うから、オレ、助かってるんです。」
悠紀「助かる?」
黒澤「ネクタイを見れば、その日の石神さんの気分が垣間見れるというか…ただ、かなり微妙にしかわからないんで、ネクタイに『今日は上機嫌』とか書いてあれば、更に助かるかも…」
悠紀「えぇ?!」
いくらなんでも、そんな オモシロネクタイなんて、絶対あげられない……
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石神「……着きましたよ?」
悠紀「……え?あ、はい!」
(思い出し笑い、見られちゃったかな?)
私は、部屋に上がると、さっそくキッチンへ向かった。
悠紀「コーヒーでいいですか?」
石神「いえ、緑茶をお願いします。」
悠紀「はい、どうぞ。石神さん、出張お疲れ様でした。それにしても、緑茶なんて珍しいですね?」
すると、石神さんは紙の手提げ袋から、丸い小箱を取り出した。
石神「今日は和菓子ですから。」
悠紀「“二人静”…素敵な器…」
石神「これは名古屋の老舗の落雁です。店の主人が自宅の庭に咲いた二人静の花に感動してこれを作ったそうです。貴女を思い浮かべて買いました。」
悠紀「ありがとうございます!」
器の蓋には、平安時代の白い衣の男君と、赤い衣の女君が寄り添う姿が描かれている。
私が蓋を開けると……中には飴玉のように白い和紙でくるまれた小さなお菓子がいくつも入っていた。
ひねった紙をほどくと、紅白の半球が合わさった小さな落雁が現れた。
悠紀「あ、かわいい!」
石神「………でしょう?」
石神さんは、穏やかな笑顔で私を見ている。
石神「まるで貴女のように…」
悠紀「えっ!」
照れくさくなった私は、慌てて二人静を半球だけ口に放り込んだ。
悠紀「…………!」
口の中で和三盆の甘みが広がり、ふわりと溶けていく。
(わぁ、なんて上品な甘さのお菓子なんだろう……)
私が余韻に浸っていると、石神さんが手を伸ばし、残りの半球を口にした。
石神「そして貴女も……」
悠紀「え……………」
隣りにいる石神さんの顔が、焦点が合わなくなるほど近づいて……
悠紀「んっ…」
口の中に、柔らかくて、熱くて……痺れるような甘さが滑り込んだ。
少しずつ、体の力が抜けていく。
私の背中を支える腕に身を預けると、石神さんの顔が離れた。
悠紀「はぁ……」
石神「ほら、こんなに甘い。」
石神さんの深い瞳は熱を帯び……
石神「悠紀」
悠紀「石神さん……」
私は、その熱が既に彼ひとりのものではないことを悟った。
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