恋人は白衣の鬼!?
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大学生の私は、近所の小さなパン屋さんでアルバイトをしている。
正直私は、卒業後の進路に悩んでいるのだけれど…
このお店で過ごす時間は、それを忘れさせてくれるものだった。
「悠紀ちゃん、バターロールは、そこに並べてくれる?」
『は~い!』
ずっと前…先代の頃から ここで働いているという おばちゃん・伊東さんは いつも元気で親切だし。
店内に漂う焼きたてパンの香りは毎日嗅いでいても全然飽きないし。
あっ、香りだけじゃなくて、味も最高!
私は、今は品出しやレジ担当だけど、いつかは こんな素敵なパンを焼いてみたいと思っている。
『あ~美味しそう!卒業したら、パン職人になろうかなぁ?』
「何度も言うようだが、そんな甘い仕事ではないぞ。」
『あっ、石神さん!』
「まぁまぁ、ヒデちゃん、ちょっとくらい悠紀ちゃんに教えてあげたっていいんじゃないの?二人で焼けば、あんたも少しは楽になるよ。」
「…………」
いつも、こんな調子だ。
店主の石神さんは、両親が遺した このお店で、一人でパンを焼いている。
実は、コンクールで入賞したこともある人で、こんな凄い職人さんに教えてもらえたら…と私は密かに憧れているのだけれど。
石神さんは、いつも素っ気ない。
そんなある日。
私は、小さなプラスチック容器を持って店に出勤した。
中身は、レンコンのきんぴら炒め。
私の自信作だ。
なぜ これを持ってきたかというと……
・
・
・
話は数日前に遡る。
私は石神さんと伊東さんの会話を聞いていた。
「ゴホッ、ゴホッ…」
「あら、ヒデちゃん風邪?」
「大したことはない。」
「そう?…でも最近、また痩せたよね?ちゃんと食べてるの?」
「…今朝はカルボナーラを食べてきた」
「どうせ冷凍でしょう?その前は?」
「醤油ラーメン。その前はクロワッサン。その前は きつねうどん。」
「…………………」
ええ~!!
小麦粉の加工品ばっかりだ!
しかも、冷凍食品とか売れ残りのパンとか。
野菜とかも食べないと、本当に倒れちゃうよ!
・
・
・
私、あんまり料理は得意じゃないけど…
レンコンのきんぴら炒めは、数少ない得意料理。
これで、石神さんが少しでも元気になってくれたら…
私は、意を決して石神さんに差し出した。
『あの…これ、食べて下さい!』
「えっ?……あぁ、ありがとう。」
石神さんは、一瞬戸惑った様子だったけど、受け取ってくれた。
(よっしゃ~!)
私は、心の中でガッツポーズ♪
でも、私のハッピーな気持ちは長続きしなかった。
『お先に失礼しまーす!…ん?』
夕方、仕事から上がる時に厨房を覗くと、あのプラスチック容器が置いてあった。
けれど、その中身が、少ししか減っていない。
今日は、昼食を摂る時間が充分あった筈だけど。
そんな………
すると、私の様子に気付いた石神さんが、ばつが悪そうに苦笑した。
「あぁ、悠紀さん。美味かったが……辛くてな。後で…」
『あっ、もしかして…石神さんは辛いの苦手でした?…すみません、無理して食べなくていいですから!失礼します……』
「ちょっと、悠紀ちゃん!昨日のブリオッシュもらっていくんでしょ?忘れてるよ~!」
背後で伊東さんの声が聞こえたけど、私は振り向けなかった……
正直私は、卒業後の進路に悩んでいるのだけれど…
このお店で過ごす時間は、それを忘れさせてくれるものだった。
「悠紀ちゃん、バターロールは、そこに並べてくれる?」
『は~い!』
ずっと前…先代の頃から ここで働いているという おばちゃん・伊東さんは いつも元気で親切だし。
店内に漂う焼きたてパンの香りは毎日嗅いでいても全然飽きないし。
あっ、香りだけじゃなくて、味も最高!
私は、今は品出しやレジ担当だけど、いつかは こんな素敵なパンを焼いてみたいと思っている。
『あ~美味しそう!卒業したら、パン職人になろうかなぁ?』
「何度も言うようだが、そんな甘い仕事ではないぞ。」
『あっ、石神さん!』
「まぁまぁ、ヒデちゃん、ちょっとくらい悠紀ちゃんに教えてあげたっていいんじゃないの?二人で焼けば、あんたも少しは楽になるよ。」
「…………」
いつも、こんな調子だ。
店主の石神さんは、両親が遺した このお店で、一人でパンを焼いている。
実は、コンクールで入賞したこともある人で、こんな凄い職人さんに教えてもらえたら…と私は密かに憧れているのだけれど。
石神さんは、いつも素っ気ない。
そんなある日。
私は、小さなプラスチック容器を持って店に出勤した。
中身は、レンコンのきんぴら炒め。
私の自信作だ。
なぜ これを持ってきたかというと……
・
・
・
話は数日前に遡る。
私は石神さんと伊東さんの会話を聞いていた。
「ゴホッ、ゴホッ…」
「あら、ヒデちゃん風邪?」
「大したことはない。」
「そう?…でも最近、また痩せたよね?ちゃんと食べてるの?」
「…今朝はカルボナーラを食べてきた」
「どうせ冷凍でしょう?その前は?」
「醤油ラーメン。その前はクロワッサン。その前は きつねうどん。」
「…………………」
ええ~!!
小麦粉の加工品ばっかりだ!
しかも、冷凍食品とか売れ残りのパンとか。
野菜とかも食べないと、本当に倒れちゃうよ!
・
・
・
私、あんまり料理は得意じゃないけど…
レンコンのきんぴら炒めは、数少ない得意料理。
これで、石神さんが少しでも元気になってくれたら…
私は、意を決して石神さんに差し出した。
『あの…これ、食べて下さい!』
「えっ?……あぁ、ありがとう。」
石神さんは、一瞬戸惑った様子だったけど、受け取ってくれた。
(よっしゃ~!)
私は、心の中でガッツポーズ♪
でも、私のハッピーな気持ちは長続きしなかった。
『お先に失礼しまーす!…ん?』
夕方、仕事から上がる時に厨房を覗くと、あのプラスチック容器が置いてあった。
けれど、その中身が、少ししか減っていない。
今日は、昼食を摂る時間が充分あった筈だけど。
そんな………
すると、私の様子に気付いた石神さんが、ばつが悪そうに苦笑した。
「あぁ、悠紀さん。美味かったが……辛くてな。後で…」
『あっ、もしかして…石神さんは辛いの苦手でした?…すみません、無理して食べなくていいですから!失礼します……』
「ちょっと、悠紀ちゃん!昨日のブリオッシュもらっていくんでしょ?忘れてるよ~!」
背後で伊東さんの声が聞こえたけど、私は振り向けなかった……
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