小さな攻防
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ある日の、とある病院。
着替えを済ませ、荷物をまとめた悠紀は、ベッドの上で座っていた。
『あー、まさかこんな時期にケガしちゃうなんて、ツイてないなぁ。今回の公演はダメ、か……』
演劇の練習中、舞台から落ちて足首にケガをし、この病院に入院したのは ちょうど一週間前の事だった。
今日退院で、桂木に迎えに来てもらい、官邸の部屋に泊まる予定になっている。
『手術して片足使えないし、暫くどこにも遊びに行けないんだな…はぁ…』
もちろん、デートも…
悠紀は、脇に置いた松葉杖を眺めて、溜め息をついた。
その時。
「お待たせしました。」
『あれ?石神さん!?』
現れたのは、桂木ではなく、石神だった。
『石神さん、確か 今日も明日も仕事って…』
「えぇ…後藤と黒澤が、気を使って替わってくれたんです。それで、桂木さんに連絡して、代わりに私が迎えに来ました。」
悠紀は荷物を持って ゆっくり歩いてくれる石神の隣を、慣れない松葉杖をついて歩く。
(たとえ 病院と官邸の間だけでも、石神さんと居られるのは嬉しい!)
ただ、入院中ずっとお風呂に入れなかった身。
石神の車で至近距離になるのは、ちょっと気が引けた。
(私、臭わないかな?…着いたら早速シャワー浴びなきゃ!)
ケガをした状況や 手術の事、リハビリの大変さを夢中で話しているうちに、車は あっという間に目的地に到着した。
『あれ?』
…石神のマンションに。
「官邸では、動けない貴女にお祭りチームが付きっきりになると聞いて…我慢できなかったんです。私では気が利かないかも知れませんが……」
『いえ、石神さんと居られるんですから、すごく嬉しいです!私こそ、ご飯を作ったりとかできなくて申し訳ないんですけど…』
暫くは両手が松葉杖で塞がってしまうから、できる事は限られている。
「そんな事は気にしないで下さい。勝手にこちらに連れてきたのは私ですから。」
石神は、マンションに着いてから、悠紀が妙にそわそわし始めた事に気付いた。
石神から離れようとする素振りすらある。
「…悠紀、何か気になる事でも?」
すると、悠紀は 少しもじもじとしながらも、思い切ったように口を開いた。
『あの……シャワー、借りていいですか?入院中、一度も髪が洗えなくて…』
「あぁ…構いませんが……大丈夫なんですか?」
『まだお風呂には浸かれないけど、シャワーならいいって、先生からOKが出たんです。』
石神は、一人で大丈夫なのかと訊いたつもりだったが。
『あっ、えっと…手術の傷には ガーゼじゃなくて、透明の保護フィルムが貼ってあるんです。抜糸まで 剥がれないように気をつければ、シャワーも平気なんですよ。今の医療って凄いですね!』
「そうですか。」
悠紀は こちらの意図に気付かないのか、もしくは そのフリなのか?
足首をある程度固定する為、かなり厚めに巻かれている包帯をほどき始めた。
『じゃあ、シャワー借りますね。』
「どうぞ。」
浴室で。
『ふぅ~、さっぱり!生き返る感じ~♪
もう少し シャワーの位置、下がらないかな?
う~ん……あっ!?』
悠紀は、シャワーに思いきり手を伸ばしたのだが。
その時、バランスを崩して、まだ使えない足に体重がかかってしまった。
身体を支えられず、足首がグニャリと曲がる。
悠紀は 激痛とともに、浴室の床に倒れた。
着替えを済ませ、荷物をまとめた悠紀は、ベッドの上で座っていた。
『あー、まさかこんな時期にケガしちゃうなんて、ツイてないなぁ。今回の公演はダメ、か……』
演劇の練習中、舞台から落ちて足首にケガをし、この病院に入院したのは ちょうど一週間前の事だった。
今日退院で、桂木に迎えに来てもらい、官邸の部屋に泊まる予定になっている。
『手術して片足使えないし、暫くどこにも遊びに行けないんだな…はぁ…』
もちろん、デートも…
悠紀は、脇に置いた松葉杖を眺めて、溜め息をついた。
その時。
「お待たせしました。」
『あれ?石神さん!?』
現れたのは、桂木ではなく、石神だった。
『石神さん、確か 今日も明日も仕事って…』
「えぇ…後藤と黒澤が、気を使って替わってくれたんです。それで、桂木さんに連絡して、代わりに私が迎えに来ました。」
悠紀は荷物を持って ゆっくり歩いてくれる石神の隣を、慣れない松葉杖をついて歩く。
(たとえ 病院と官邸の間だけでも、石神さんと居られるのは嬉しい!)
ただ、入院中ずっとお風呂に入れなかった身。
石神の車で至近距離になるのは、ちょっと気が引けた。
(私、臭わないかな?…着いたら早速シャワー浴びなきゃ!)
ケガをした状況や 手術の事、リハビリの大変さを夢中で話しているうちに、車は あっという間に目的地に到着した。
『あれ?』
…石神のマンションに。
「官邸では、動けない貴女にお祭りチームが付きっきりになると聞いて…我慢できなかったんです。私では気が利かないかも知れませんが……」
『いえ、石神さんと居られるんですから、すごく嬉しいです!私こそ、ご飯を作ったりとかできなくて申し訳ないんですけど…』
暫くは両手が松葉杖で塞がってしまうから、できる事は限られている。
「そんな事は気にしないで下さい。勝手にこちらに連れてきたのは私ですから。」
石神は、マンションに着いてから、悠紀が妙にそわそわし始めた事に気付いた。
石神から離れようとする素振りすらある。
「…悠紀、何か気になる事でも?」
すると、悠紀は 少しもじもじとしながらも、思い切ったように口を開いた。
『あの……シャワー、借りていいですか?入院中、一度も髪が洗えなくて…』
「あぁ…構いませんが……大丈夫なんですか?」
『まだお風呂には浸かれないけど、シャワーならいいって、先生からOKが出たんです。』
石神は、一人で大丈夫なのかと訊いたつもりだったが。
『あっ、えっと…手術の傷には ガーゼじゃなくて、透明の保護フィルムが貼ってあるんです。抜糸まで 剥がれないように気をつければ、シャワーも平気なんですよ。今の医療って凄いですね!』
「そうですか。」
悠紀は こちらの意図に気付かないのか、もしくは そのフリなのか?
足首をある程度固定する為、かなり厚めに巻かれている包帯をほどき始めた。
『じゃあ、シャワー借りますね。』
「どうぞ。」
浴室で。
『ふぅ~、さっぱり!生き返る感じ~♪
もう少し シャワーの位置、下がらないかな?
う~ん……あっ!?』
悠紀は、シャワーに思いきり手を伸ばしたのだが。
その時、バランスを崩して、まだ使えない足に体重がかかってしまった。
身体を支えられず、足首がグニャリと曲がる。
悠紀は 激痛とともに、浴室の床に倒れた。
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