新春の朝
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身が引き締まる様な、新春の朝。
俺は独りで、山林の木々の間から 富士山を眺めていた。
澄み渡る空に映える、雄大な富士山。
清々しい思いで眺めていると、しばらくして、空にいくつかの点が見えてきた。
大きいものが二つに小さいものが一つ。
近づいて来ると、可愛らしい小鳥が、二羽のカラスに追われているのが判った。
石神「シッ!」
俺は、思わずカラスを追い払った。
“カァーッ!!”
カラスが飛び去ると、命拾いした小鳥
━━白と黒のコントラストが美しい、ハクセキレイ━━は、嬉しそうに近付いて来た。
?『石神さん!危ないところを助けて下さって、ありがとうございました♪』
この声は……?
石神「えっ?…悠紀…さん!?」
悠紀『はい♪』
どういうことだ?……まさか。
俺は、恐る恐る自分の足元を見た。
鋭く大きな爪の生えた、鳥の脚。
なっ………!
何故このような事に?
受け入れ難い状況に固まっていると、
ハクセキレイ…いや、悠紀が 更に近付いて来る。
悠紀『石神さんに会えて嬉しいです!今日はお休みですか?』
石神「えぇ、まぁ。」
お休みも何も……
答えに困ったその時、今度は違う鳥の集団が降りて来た。
「あっ、いました。」
「悠紀ちゃん、危ない!」
「いや、あれは石神じゃないのか?」
この騒々しさは、もしかすると お祭りチームか?
見た目はハヤブサの群れだが。
「石神、助かったよ。ありがとう。」
桂木さん…と思われる、一番大きいハヤブサが一歩進み出た。
桂木「悠紀さん、私達がお送りしましょうか?それとも…」
石神「いや、猛禽の群れに悠紀さんは預けられません。」
俺は、いつものように眼鏡を押し上げようとして…
それが無いことに気付く。
そもそも、“手”を顔に遣れない。
「ちぇっ、スパイだって鷹のくせに!」
桂木「まぁ、石神なら大丈夫だろう。…石神、悠紀さんを頼む。」
石神「わかりました。」
お祭りチームは、文句を言いながら、飛び去っていった。
……そうか、今の俺は鷹なのか。
悠紀「石神さん、ここは富士山がよく見えますね!きれい♪」
細長い尾羽根を せわしなく上下に振り、首を傾げる悠紀は、あまりにも可愛らしく、美味しそう……
…………?!
ダメだ!!
無防備にすり寄って来る悠紀が 、だんだん獲物に見えてきていた。
このままでは……
悠紀『きゃっ!?』
俺は、とにかく悠紀を自分の視界から外そうと、夢中で腹の下に抱え込んだ。
ちょうど 親鳥が卵を抱くように。
……落ち着け。
これから どうするべきか、冷静に考えなければ。
悠紀『ふふっ、石神さん、お腹の羽毛がフワフワであったかいです♪』
猛禽の本能と闘う俺の葛藤も知らず、悠紀は無邪気に腹の下から顔を出す。
石神「………私も、貴女がいるから暖かいですよ。」
俺は、視線を逸らして応えた。
あぁ、悠紀を…貪ってしまいたい……
……………!
いや、違う!両腕で強く抱き締めたい。
だが、今の俺の姿では…
彼女を鷹の爪でワシ掴み…という笑えない状態になってしまう。
仕方なく、俺は嘴の先で悠紀の頭から背を そっと…そっと撫でた。
悠紀が うっとりと目を閉じる。
愛おしくて堪らないのに……
もう、こんな事しかできないのか。
いや、もはや一緒に居るのさえ危険だ。
悠紀から離れる決意をしかけた、
その時。
悠紀『あ……ん……』
……………………!!
可愛らしい小鳥からとは思えない、甘い声が洩れる。
俺の心拍数は一気に上がった。
悠紀『あぁ…石神…さん?…////』
・
・
・
石神「うん?……あっ。」
ふと 気が付くと、俺はベッドの上にいた。
悠紀を背後から抱き締めながら、その首筋に唇を這わせていたらしい。
………夢?
俺は寝ぼけていたのか?
悠紀『ふふっ、おはようございます♪』
石神「…あぁ、おはようございます。私は寝ぼけていたようですね。変なことを言いませんでしたか?」
悠紀『いいえ。何か夢を見てたんですか?』
石神「鷹がいて…貴女と一緒に富士山を眺めていました。」
俺が鷹だった、とは言わない。
悠紀『すごい!初夢が一富士二鷹ですね。……それで、三のなすびは?』
石神「それは残念ながら。なんなら、二度寝してみましょうか?」
悠紀『えっ?それじゃ寝正月になっちゃいます!…て いうか、次はもう初夢じゃないですよ?』
石神「フフッ…悠紀となら、寝正月も悪くないな。……初夢でなくても 寝ぼけついでに、続きだ。」
悠紀『続き?…えっ!?………////』
俺は、悠紀の身体をこちらに向けて抱き締め直した。
腕の中の悠紀の様子と、あのハクセキレイが重なる。
悠紀………
もう逃げられないぞ?
なにしろ、鷹に捕らえられたのだからな。
━━ End ━━
俺は独りで、山林の木々の間から 富士山を眺めていた。
澄み渡る空に映える、雄大な富士山。
清々しい思いで眺めていると、しばらくして、空にいくつかの点が見えてきた。
大きいものが二つに小さいものが一つ。
近づいて来ると、可愛らしい小鳥が、二羽のカラスに追われているのが判った。
石神「シッ!」
俺は、思わずカラスを追い払った。
“カァーッ!!”
カラスが飛び去ると、命拾いした小鳥
━━白と黒のコントラストが美しい、ハクセキレイ━━は、嬉しそうに近付いて来た。
?『石神さん!危ないところを助けて下さって、ありがとうございました♪』
この声は……?
石神「えっ?…悠紀…さん!?」
悠紀『はい♪』
どういうことだ?……まさか。
俺は、恐る恐る自分の足元を見た。
鋭く大きな爪の生えた、鳥の脚。
なっ………!
何故このような事に?
受け入れ難い状況に固まっていると、
ハクセキレイ…いや、悠紀が 更に近付いて来る。
悠紀『石神さんに会えて嬉しいです!今日はお休みですか?』
石神「えぇ、まぁ。」
お休みも何も……
答えに困ったその時、今度は違う鳥の集団が降りて来た。
「あっ、いました。」
「悠紀ちゃん、危ない!」
「いや、あれは石神じゃないのか?」
この騒々しさは、もしかすると お祭りチームか?
見た目はハヤブサの群れだが。
「石神、助かったよ。ありがとう。」
桂木さん…と思われる、一番大きいハヤブサが一歩進み出た。
桂木「悠紀さん、私達がお送りしましょうか?それとも…」
石神「いや、猛禽の群れに悠紀さんは預けられません。」
俺は、いつものように眼鏡を押し上げようとして…
それが無いことに気付く。
そもそも、“手”を顔に遣れない。
「ちぇっ、スパイだって鷹のくせに!」
桂木「まぁ、石神なら大丈夫だろう。…石神、悠紀さんを頼む。」
石神「わかりました。」
お祭りチームは、文句を言いながら、飛び去っていった。
……そうか、今の俺は鷹なのか。
悠紀「石神さん、ここは富士山がよく見えますね!きれい♪」
細長い尾羽根を せわしなく上下に振り、首を傾げる悠紀は、あまりにも可愛らしく、美味しそう……
…………?!
ダメだ!!
無防備にすり寄って来る悠紀が 、だんだん獲物に見えてきていた。
このままでは……
悠紀『きゃっ!?』
俺は、とにかく悠紀を自分の視界から外そうと、夢中で腹の下に抱え込んだ。
ちょうど 親鳥が卵を抱くように。
……落ち着け。
これから どうするべきか、冷静に考えなければ。
悠紀『ふふっ、石神さん、お腹の羽毛がフワフワであったかいです♪』
猛禽の本能と闘う俺の葛藤も知らず、悠紀は無邪気に腹の下から顔を出す。
石神「………私も、貴女がいるから暖かいですよ。」
俺は、視線を逸らして応えた。
あぁ、悠紀を…貪ってしまいたい……
……………!
いや、違う!両腕で強く抱き締めたい。
だが、今の俺の姿では…
彼女を鷹の爪でワシ掴み…という笑えない状態になってしまう。
仕方なく、俺は嘴の先で悠紀の頭から背を そっと…そっと撫でた。
悠紀が うっとりと目を閉じる。
愛おしくて堪らないのに……
もう、こんな事しかできないのか。
いや、もはや一緒に居るのさえ危険だ。
悠紀から離れる決意をしかけた、
その時。
悠紀『あ……ん……』
……………………!!
可愛らしい小鳥からとは思えない、甘い声が洩れる。
俺の心拍数は一気に上がった。
悠紀『あぁ…石神…さん?…////』
・
・
・
石神「うん?……あっ。」
ふと 気が付くと、俺はベッドの上にいた。
悠紀を背後から抱き締めながら、その首筋に唇を這わせていたらしい。
………夢?
俺は寝ぼけていたのか?
悠紀『ふふっ、おはようございます♪』
石神「…あぁ、おはようございます。私は寝ぼけていたようですね。変なことを言いませんでしたか?」
悠紀『いいえ。何か夢を見てたんですか?』
石神「鷹がいて…貴女と一緒に富士山を眺めていました。」
俺が鷹だった、とは言わない。
悠紀『すごい!初夢が一富士二鷹ですね。……それで、三のなすびは?』
石神「それは残念ながら。なんなら、二度寝してみましょうか?」
悠紀『えっ?それじゃ寝正月になっちゃいます!…て いうか、次はもう初夢じゃないですよ?』
石神「フフッ…悠紀となら、寝正月も悪くないな。……初夢でなくても 寝ぼけついでに、続きだ。」
悠紀『続き?…えっ!?………////』
俺は、悠紀の身体をこちらに向けて抱き締め直した。
腕の中の悠紀の様子と、あのハクセキレイが重なる。
悠紀………
もう逃げられないぞ?
なにしろ、鷹に捕らえられたのだからな。
━━ End ━━
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