誰も喋ってはならぬ
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*****悠紀 Side*****
ある休日。
悠紀は、みどり・小杉先輩と共に遊園地に来ていた。
みどり「今日はいい天気になって良かったね!」
悠紀「……うん。」
みどり「ほら、悠紀~、女の子だけで来たけどさぁ、せっかくだから楽しもうよ~!」
悠紀「う、うん、そうだよね…」
昨日の石神からの、
『今度の案件が片付かず、明日は仕事になりました。この埋め合わせは後日します。すみません。』
という メールを見て落ち込んでいた所を二人に誘われ、今日はここに居る。
(せっかく誘ってくれたのに、いつまでも落ち込んでちゃダメだよね。石神さんと遊園地に来る事なんて無いだろうから、たまには こういう所で楽しまなきゃね。)
ところが。
小杉「うふふ…今日はね、遊びに来た訳じゃないの。一日、アルバイトしてもらうわ。」
「「ええ~~っ!?」」
三人は、遊園地の倉庫兼更衣室に案内された。
小杉「次回作の参考と演技の訓練を兼ねて、今日は着ぐるみのアルバイトをしてもらうから。」
みどり「ええっ、一日中、あれを着るんですか!?」
小杉「そうよ。いい?着ぐるみのマスコットキャラクターは、喋っちゃダメ。ジェスチャーだけで全てを表現するのよ!」
悠紀(最近は ふ○っしーみたいに、自分で喋って笑いまで取ってるのも いるけど…)
「わ、わかりました…!」
こうして、悠紀にとって、落ち込む余裕など無い一日が始まったのだった。
着替えが済んだ悠紀は、着ぐるみ、ネコの「ぺこにゃん」に 成りきるべく、園内に出た。
悠紀(みどりと小杉先輩は どうしたんだろう?)
三人は別々に案内されて着替えたので、お互いに何の着ぐるみを着たのか知らない。
しかも、配置もバラバラ。
広い園内で独りにされ、不安だが。
『あっ、ぺこにゃんだ~!』
悠紀の姿を見つけた子供たちが駆け寄って来る。
悠紀(子供たちの期待に応えなきゃ!『こんにちは~、ぺこにゃんだよ~!』…って、言えないんだよね…)
精一杯、手を振ったり、大きく首を傾げたり。
悠紀(うっ、頭 重っ!)
数時間が過ぎ…
悠紀は、ふと 周りを見渡した。
よく見ると、意外とあちこちに 着ぐるみキャラたちがいる。
楽しそうにスキップする リス。
少し離れた場所で 腕を組んで立っている ウサギ。
さらに その先では、やけに姿勢のいいパンダが歩いている。
悠紀(小杉先輩、みどり…どこにいるんだろう?)
しかし、
スキップし過ぎて バテ気味のリスも
無愛想な ピンクのウサギも
早足過ぎて 子供たちが ついて来られない 赤い蝶ネクタイのパンダも、
あの二人が入っているのではなさそうだ。
悠紀(さぁ、もう一息、頑張らなくちゃ!)
子供たちに風船をあげたり、一緒に写真に収まったり、握手したり……
ピーンポーンパーンポーン♪
悠紀(あっ、休憩の時間だ!…ふぅ…)
多分、休憩も 二人とは別々なのだろう。
悠紀(ところで、休憩室 どこ?教えてもらってないし…そうだ、あのリスさんに聞いてみよう)
ところが、張り切りリスは、猛スピードでスキップして行ってしまった。
悠紀(あ…じゃあ、ウサギさんに。すみません、休憩室は…って、どう伝えるの?)
今度は 目が合った(?) 腕組みウサギの前で、何か食べるマネをしたり、眠る仕草をしてみたり……したが、反応が無い。
すると、そのうちに、向こうにいた やけに姿勢のいいパンダが、殺気を放ちながら近寄って来るのが見えた。
悠紀(わっ、もしかして 怒られる? きゃ~、ごめんなさーい!)
仕方なく、悠紀は二人(二匹?)から 慌てて離れた。
しばらく歩くと、サルとイヌが ある建物に入るのが見えた。
悠紀(あ、あれが休憩室かな?)
悠紀は、園内の片隅にある小さな建物に入ってみた。
悠紀「お疲れ……え!?」
着ぐるみの頭部を外したイヌとサル……二人の男が、ボストンバッグを開け、中身を確認しているところだった。
その中身は、帯封の付いた多数の札束。
ものすごくマズいところに来てしまったようだ。
サル男「…おい。」
イヌ男「見たな?」
悠紀「あ…あの…えっと…」
悠紀は後ずさりしたが、後ろは壁。
イヌ男に頭を外され、首に手がかかる。
イヌ男「悪いな、ねえちゃん」
悠紀(もう ダメだ………)
その時。
バーン!!
建物のドアが 壊れそうな勢いで開き、入って来たのは……
………次ページにつづく!
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