触れた先の熱
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日。
悠紀は官邸から帰ろうとすると、廊下で後藤と黒澤に会った。
悠紀「あれ?石神さんは一緒じゃないんですね」
黒澤「えっ?もしかしてデートの約束してたとか?」
後藤「今日は珍しく先に帰ったぞ」
悠紀「そうなんですか?」
黒澤「何となく、うっすら赤い顔で、浮き足立ってる感じだったから、この後てっきり悠紀さんと…」
後藤「黒澤!」
悠紀「それって…体調悪いんじゃ…大変!」
後藤「…送ろう。石神さんの家に行くんだろう?」
悠紀「はい、ありがとうございます!」
悠紀は、送ってもらう車の中で石神に電話をかける。
石神「もしもし…悠紀さん、どうしました?」
悠紀「石神さん、今、家にいるんですよね?」
石神「ええ、そうですが」
悠紀「もしかして、体調悪いんですか?」
石神「え?あぁ……少々疲れてますが、心配されるほどでは……ありません」
悠紀「今 向かってますから、休んでてくださいね。」
石神「いえ、ですから……」
“ピッ”
悠紀(やっぱり、声に元気が無い……)
悠紀は、少し寄り道をして貰い、食材などを買い込んで、石神の家に行った。
“ピンポン”
石神「悠紀さん…。」
玄関を開けた石神の顔は、やはり赤い。
悠紀「石神さん、やっぱり熱、ありそうですよ?」
石神「たいしたことは…それより、貴女にうつったら大変です」
悠紀「いいから、寝ててください。こんな時ぐらい、ちゃんと身体を休めて下さいね?」
悠紀は、珍しく少しふらふらしている石神をベッドに入らせると、キッチンで思わず気合をいれる。
怪我で入院した石神を見舞うことはあったが、家で看病するのは初めてのこと。
悠紀「お粥、作りましたけど、食べられそうですか?」
石神「あぁ……食べさせて……くれるか?」
悠紀「は…、はいっ///」
石神の、熱で少しトロンとした瞳にドキッとするが、気を取り直して、少しずつスプーンに取ったお粥を食べさせる。
石神「もう…いい」
あまり食べられないようだ。
悠紀「そうですか…じゃあ、薬を飲んで寝て下さい。プリンも買ってきましたから、後で食べられるといいですね。」
石神「……………」
突然、石神は 身体を縮め、固く布団にくるまった。
悠紀「石神さん!?」
石神「………寒い」
石神は、小刻みに震えている。
悠紀「どうしよう?…あー、えっと、こういう時って、やっぱり……?」
悠紀は、少し躊躇ったものの、ごそごそと布団に入り、ぴったりと石神の背中にくっつく。
小説か何かで、裸になって温めてた様な気もするが、さすがにムリムリ。
ふと、悠紀が、背後から石神の額に触れようとして、手を伸ばすと、うっかり指先が彼の唇に当たった。
石神の唇は熱く、乾いていた。
半分開いた唇から、苦しげな熱い吐息が指先にかかる。
悠紀「カサカサ……かわいそう」
いつの間にか、石神は眠っている。
悠紀「今日は私が石神さんを守ってあげてる感じ?たまには…イイかも。でも、早く治ってね。」
一方、悠紀を送った後の二人。
後藤「石神さんに、体調が悪いこと 口止めされてたのに、なんで…」
黒澤「いいじゃないですかー、今頃石神さん、悠紀さんに、お粥『あーん』してもらったり、添い寝なんかしてもらっちゃったりして、あと…」
後藤「そこまでにしとけ」
黒澤「思いっきり甘える石神さんって……」
後藤「うるさい!」
黒澤「あーあ、ふられんぼさんのヤキモチ、格好悪いですよ~」
後藤「……ったく、なんでこんなことに…」
黒澤「だって、石神さんに風邪をうつしたの、オレですからねぇ」
――END ――
1/1ページ