1）庭先で息絶えてなお鵙（もず）の贄（にえ）

2）夏フェスの熱い口づけで火をつけて

3）夏草や今夏最初の蝉の声

4）寒梅雨が明ければ猛暑迎え入れ

5）蚊取りブタ夏が過ぎても棚の上

6）宵闇（よいやみ）に紛れて冥（くら）き曼珠沙華（まんじゅしゃげ）

7）若男鹿（わかおじか）馬肥ゆる夜（よ）に試し鳴き

8）轡虫（くつわむし）馬肥ゆる夜に試し鳴き

9）一工夫加（くわ）えて作る一人鍋

10）秋桜（コスモス）の色柔らかに橋の下

11）夕闇に紛れて見えぬ宵花火

12）夏祭りカランコロンと下駄の音

13）処暑（しょしょ）過ぎて少々涼しくなる零時（0時）

14）秋立ちて冷却シートの出番減り

15）夏衣なかなか消えぬ日焼け痕

16）夏メトロ地上に逃れて涼を取り