言霊
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わたしが転属した理由くらいわかってるよなー
なまえは憂鬱だった。
玉狛支部で歓迎されるはずがない。むしろどんな目に遭うかもわからない。
まず、無口ななまえは初対面の場面が苦手だった。
クラス替えですぐに馴染めた試しがない。
小学5年生でサイドエフェクトが発覚してからは。
「失礼します……」
「いらっしゃーい!」
メガネの女子が駆け寄ってくる。人懐こい笑顔に拍子抜けした。
「お菓子用意して待ってたよー。どら焼きは好き?」
「は……はい……」
メガネ女子の案内でソファに座った。
「はじめまして」
「ぼくも転属したばかりなんです」
「わたしたちは入隊したばかりでーー」
それぞれに話し出した玉狛のメンバーから敵意は感じられない。
もしかして、油断したところで何かされるとか……?
「今日から転属してきました、苗字なまえです。よろしくお願いします」
「アタシ宇佐美 栞。よろしくね!」
「三雲 修です」
「雨取 千佳です」
自己紹介が続く中、入隊したばかりという雨取さんの隣をチラリと見る。
白髪頭の小柄な男の子。この子がーー
「空閑 遊真。よろしく」
小さく会釈を返すと、空閑くんはわたしの目をまっすぐ見て言った。
「おれのことを操りにきたの?」
「……わたしはあなたのことを見ておくだけ」
この子、全てを見透かすような目をしている。
背筋がゾクっとした。
彼の隣で三雲くんが慌てた顔をしている。
「ふーん、おまえウソつかないんだね」
「わたしは確証があること以外は言わないの。まず、ほぼしゃべらないけどね」
「だって。こなみ先輩もこっち来て大丈夫そうだよ」
部屋の隅からずっとこちらを睨んでいた女子が、疑いの眼差しのままながら同じテーブルについた。
「あたし小南。あんたのこと、完全に信用したわけじゃないからね!」
思わず苦笑いを浮かべながらうなづいた。
なんだろう、油断させる作戦とかじゃないのかもしれない。
彼らなりに迎えてくれているのかもしれない。
「なまえちゃん高1だよね? 高校はどこなの?」
「市立第一です」
「じゃあとりまると一緒ね」
「隣のクラスです。わたし休みがちで、あまり面識がないですが……」
「病気だったりするの?」
那須さんのようにトリオン体では強くても、生身は病気ということもある。
宇佐美さんは遠慮がちに聞いてくれた。
「いや、学校嫌いで……」
「おれも最初は辞めようかと思ったな」
空閑くんがうんうんと大きくうなづいている。
「なまえ先輩は特に何の授業が嫌いなんだ?」
おれは全部ちんぷんかんぷんだ、と自信まんまんに答える空閑くんに、思わず口角が上がってしまう。
「現国……」
「へー、なんで?」
文化系らしい宇佐美さんは不思議そう。
「先生に当てられて音読するじゃないですか。わたしが読むと心に響くらしくて、必ず何人か泣き出すんです……」
「それは……」
(((((その授業、受けてみたい)))))
警戒していた小南さんも含めて、全員が興味深そうにこちらを見ていた。
なまえは憂鬱だった。
玉狛支部で歓迎されるはずがない。むしろどんな目に遭うかもわからない。
まず、無口ななまえは初対面の場面が苦手だった。
クラス替えですぐに馴染めた試しがない。
小学5年生でサイドエフェクトが発覚してからは。
「失礼します……」
「いらっしゃーい!」
メガネの女子が駆け寄ってくる。人懐こい笑顔に拍子抜けした。
「お菓子用意して待ってたよー。どら焼きは好き?」
「は……はい……」
メガネ女子の案内でソファに座った。
「はじめまして」
「ぼくも転属したばかりなんです」
「わたしたちは入隊したばかりでーー」
それぞれに話し出した玉狛のメンバーから敵意は感じられない。
もしかして、油断したところで何かされるとか……?
「今日から転属してきました、苗字なまえです。よろしくお願いします」
「アタシ宇佐美 栞。よろしくね!」
「三雲 修です」
「雨取 千佳です」
自己紹介が続く中、入隊したばかりという雨取さんの隣をチラリと見る。
白髪頭の小柄な男の子。この子がーー
「空閑 遊真。よろしく」
小さく会釈を返すと、空閑くんはわたしの目をまっすぐ見て言った。
「おれのことを操りにきたの?」
「……わたしはあなたのことを見ておくだけ」
この子、全てを見透かすような目をしている。
背筋がゾクっとした。
彼の隣で三雲くんが慌てた顔をしている。
「ふーん、おまえウソつかないんだね」
「わたしは確証があること以外は言わないの。まず、ほぼしゃべらないけどね」
「だって。こなみ先輩もこっち来て大丈夫そうだよ」
部屋の隅からずっとこちらを睨んでいた女子が、疑いの眼差しのままながら同じテーブルについた。
「あたし小南。あんたのこと、完全に信用したわけじゃないからね!」
思わず苦笑いを浮かべながらうなづいた。
なんだろう、油断させる作戦とかじゃないのかもしれない。
彼らなりに迎えてくれているのかもしれない。
「なまえちゃん高1だよね? 高校はどこなの?」
「市立第一です」
「じゃあとりまると一緒ね」
「隣のクラスです。わたし休みがちで、あまり面識がないですが……」
「病気だったりするの?」
那須さんのようにトリオン体では強くても、生身は病気ということもある。
宇佐美さんは遠慮がちに聞いてくれた。
「いや、学校嫌いで……」
「おれも最初は辞めようかと思ったな」
空閑くんがうんうんと大きくうなづいている。
「なまえ先輩は特に何の授業が嫌いなんだ?」
おれは全部ちんぷんかんぷんだ、と自信まんまんに答える空閑くんに、思わず口角が上がってしまう。
「現国……」
「へー、なんで?」
文化系らしい宇佐美さんは不思議そう。
「先生に当てられて音読するじゃないですか。わたしが読むと心に響くらしくて、必ず何人か泣き出すんです……」
「それは……」
(((((その授業、受けてみたい)))))
警戒していた小南さんも含めて、全員が興味深そうにこちらを見ていた。