『まいった』/ izw
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ほろ酔いになってきた頃、そろそろ帰るかーなんて2人。
俺はまだ全然飲み足りなかったけど、2人に迷惑をかけるわけにも行かず一緒に店を出ることにした。
「ま、新しいいい子に出会えるって!まずはオーラから変えてけ?」
「そうっすよね...」
忘れようと思い続けて1年。
忘れようと思うことが忘れられない原因だと分かっていても考えてしまうわけで。
結局新しい出会いでしかきっと君を塗り替える方法はないんだろうな。
「そんなに引きずるならさ。もうその子にしすればいいじゃん。無理やり新しい子捕まえなくても。Twitterでもインスタでもなんでもいいじゃん、もう1回会わない?って言えば。俺は絶対やらないけど」
「俺ら絶対にこの話でいっつも解散してるよなぁ笑」
「だって伊沢うじうじしてて面倒じゃん。こっちまでまいっちゃうよ」
「福良さん酔うとめっちゃ言うから面白いんだよなぁ」
毎回毎回
結局これで話が終わるのは確かだ。
何も行動を起こさないのにうじうじしてる俺にはこう言うしかないのだろう。
2人と別れてから何を思ったか俺が向かったのはあの日麗結とデートで歩いた道。
冷たい風とすれ違う幸せそうな人々はあの人全く同じなのにさ。
俺の隣には君がいない。
あの手の温もりがない。
まいった。
また真っ赤な鼻の麗結を思い出して泣きそうになってる自分に気づく。
冷たくなった両手を擦って寂しい左手もコートのポケットの中に入れた。
飲み足りないなんて思っていたけど家の近くのコンビニに入った時には少し気分がよかった。
「あーあ、会いてぇなぁ...」
缶ビールがいくつか入った袋を腕に提げてぽつりと呟いた言葉は白くまた空にのぼっていく。
スマホの画面を光らせて画像欄を開いたことが間違いだった。
俺の中の麗結はこの画像たちで止まったまま。
今の俺は今の君のことを何も知らないけれど...やっぱり君がいいんだ。
こんなことをしたら君は引くだろうか?
もし困ってそうだったら、酔ってるから許してよ、なんて誤魔化そう。
暗闇の中に光っている画面をかじかんだ指でゆっくりゆっくりなぞる。
まいったな。
こんなに心臓がバクバクしているのは人生で初めてかもしれない。
よわったな。
こんなに自分がダサい男だなんて思っていなかった。
10分ほどかかって【久しぶり】だなんてありきたりなメッセージを送信した。
*
【拓司くん、久しぶり!】
まいった。
数分で返ってきた君からの返事にはっとした。
画面の先にいる麗結はあの日と全く変わらず【寒いね】なんて普通に会話を始めようとしている。
その言葉に、きっとまだ変わっていない赤鼻を想像して胸が苦しくなる。
やっぱり君は変わってなかったね。
【ねぇ、麗結が頭の中から離れてくれないんだけどさ】
【やっぱり麗結じゃないと....】
よわったな、口が滑った。
酔ってるから許してくれるかな。
【まだそんなこと言ってくれるなんて嬉しいよ】
まいったな、やっぱり麗結のことを忘れられないわ。
俺はまだ全然飲み足りなかったけど、2人に迷惑をかけるわけにも行かず一緒に店を出ることにした。
「ま、新しいいい子に出会えるって!まずはオーラから変えてけ?」
「そうっすよね...」
忘れようと思い続けて1年。
忘れようと思うことが忘れられない原因だと分かっていても考えてしまうわけで。
結局新しい出会いでしかきっと君を塗り替える方法はないんだろうな。
「そんなに引きずるならさ。もうその子にしすればいいじゃん。無理やり新しい子捕まえなくても。Twitterでもインスタでもなんでもいいじゃん、もう1回会わない?って言えば。俺は絶対やらないけど」
「俺ら絶対にこの話でいっつも解散してるよなぁ笑」
「だって伊沢うじうじしてて面倒じゃん。こっちまでまいっちゃうよ」
「福良さん酔うとめっちゃ言うから面白いんだよなぁ」
毎回毎回
結局これで話が終わるのは確かだ。
何も行動を起こさないのにうじうじしてる俺にはこう言うしかないのだろう。
2人と別れてから何を思ったか俺が向かったのはあの日麗結とデートで歩いた道。
冷たい風とすれ違う幸せそうな人々はあの人全く同じなのにさ。
俺の隣には君がいない。
あの手の温もりがない。
まいった。
また真っ赤な鼻の麗結を思い出して泣きそうになってる自分に気づく。
冷たくなった両手を擦って寂しい左手もコートのポケットの中に入れた。
飲み足りないなんて思っていたけど家の近くのコンビニに入った時には少し気分がよかった。
「あーあ、会いてぇなぁ...」
缶ビールがいくつか入った袋を腕に提げてぽつりと呟いた言葉は白くまた空にのぼっていく。
スマホの画面を光らせて画像欄を開いたことが間違いだった。
俺の中の麗結はこの画像たちで止まったまま。
今の俺は今の君のことを何も知らないけれど...やっぱり君がいいんだ。
こんなことをしたら君は引くだろうか?
もし困ってそうだったら、酔ってるから許してよ、なんて誤魔化そう。
暗闇の中に光っている画面をかじかんだ指でゆっくりゆっくりなぞる。
まいったな。
こんなに心臓がバクバクしているのは人生で初めてかもしれない。
よわったな。
こんなに自分がダサい男だなんて思っていなかった。
10分ほどかかって【久しぶり】だなんてありきたりなメッセージを送信した。
*
【拓司くん、久しぶり!】
まいった。
数分で返ってきた君からの返事にはっとした。
画面の先にいる麗結はあの日と全く変わらず【寒いね】なんて普通に会話を始めようとしている。
その言葉に、きっとまだ変わっていない赤鼻を想像して胸が苦しくなる。
やっぱり君は変わってなかったね。
【ねぇ、麗結が頭の中から離れてくれないんだけどさ】
【やっぱり麗結じゃないと....】
よわったな、口が滑った。
酔ってるから許してくれるかな。
【まだそんなこと言ってくれるなんて嬉しいよ】
まいったな、やっぱり麗結のことを忘れられないわ。