『まいった』/ izw
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クリスマスまではまだあと1ヶ月近くあるはずなのに。
何故かもうお祭りムードにライトアップされている木々たちが並ぶ街を1人で歩く。
めちゃくちゃ幸せそうな人達と何度も何度もすれ違う度目を背けた。
ショーウィンドウに映った自分は何度見ても1人で、何度見ても人生どん底ですって顔をしている。
「はぁ...」
真っ白な息が空に伸びた。
君も同じ空の下で、元気にやっているのだろうか。
*
「鼻真っ赤じゃん」
「拓司くんが10分!も!遅刻してきたからでしょ?!」
「ごめんごめん。目覚ましが仕事してなかったんだよ!」
「もー!本当にバカ!」
「バカじゃねーって!東大卒だわ」
「そういうことじゃない!」
1年前、俺の隣には確かに麗結がいた。
俺にとって初めての彼女は小柄だけれどスタイルが良くてみんなから可愛いねとちやほやされるような子だった。
それでも周りに甘えることなくしっかり者で俺のことを引っ張ってくれていたのが彼女。
「寒いね」と言った彼女の言葉は白くて。
「そうだな」と返した俺の言葉も白かった。
「なんか温かいもの食べたい!」
「何がいいですか?」
「拓司くんの奢りでね!遅刻してきたんだから!」
鼻の頭を真っ赤にした彼女が俺の左手をとって顔を覗き込んでくる。
この日も彼女は可愛かった。
こんな俺に、こんな可愛い彼女が出来たんだと心は毎日浮かれていたし、麗結の存在で俺は前よりも自信を持って日々を過ごしていた。
「いいの?!」
「うん。麗結これ欲しいんでしょ」
「でも...」
「サンタさんからのプレゼント、なんつってね」
ある店で彼女がじーっと見つめていたキラキラと光るネックレスが俺にとって初めて彼女にしたプレゼント。
「ありがとう!」と嬉しそうに俺に飛びついた彼女の満面の笑みがまだ頭から離れてくれない。
店を出るとまた左手は彼女の手と繋がって、右手はプレゼントが入った紙袋。
右手だけ冷たくて真っ赤になってたけど、こんなん気にならないくらい幸せだった。
*
「はぁ...」
「あ、そういや伊沢。この前の飲み会どうだったの?」
「ん?この前っていつの話?」
「お前そんな何個もそーゆー飲み会行ってんの?」
「まじでやべぇじゃん」って枝豆をつまみながら須貝さんが笑ってる。
「週2くらいですよ。別にやばくないでしょ」
「週2で行っててまだその不幸オーラ身にまとってんのがやばいんだよ。1人くらいいい子いたでしょ?」
「まぁ」
「持ち帰んなかったの?」
「持ち帰ったっつーか2軒目には行くんですけど」
「なんだちゃんとやることやってんじゃん」
やることちゃんとやっててこれだから悩んでんだよなぁ、という今日何度目かのため息は「すみませーん!生もう...3つ!!」という須貝さんの元気すぎる声にかき消された。
何故かもうお祭りムードにライトアップされている木々たちが並ぶ街を1人で歩く。
めちゃくちゃ幸せそうな人達と何度も何度もすれ違う度目を背けた。
ショーウィンドウに映った自分は何度見ても1人で、何度見ても人生どん底ですって顔をしている。
「はぁ...」
真っ白な息が空に伸びた。
君も同じ空の下で、元気にやっているのだろうか。
*
「鼻真っ赤じゃん」
「拓司くんが10分!も!遅刻してきたからでしょ?!」
「ごめんごめん。目覚ましが仕事してなかったんだよ!」
「もー!本当にバカ!」
「バカじゃねーって!東大卒だわ」
「そういうことじゃない!」
1年前、俺の隣には確かに麗結がいた。
俺にとって初めての彼女は小柄だけれどスタイルが良くてみんなから可愛いねとちやほやされるような子だった。
それでも周りに甘えることなくしっかり者で俺のことを引っ張ってくれていたのが彼女。
「寒いね」と言った彼女の言葉は白くて。
「そうだな」と返した俺の言葉も白かった。
「なんか温かいもの食べたい!」
「何がいいですか?」
「拓司くんの奢りでね!遅刻してきたんだから!」
鼻の頭を真っ赤にした彼女が俺の左手をとって顔を覗き込んでくる。
この日も彼女は可愛かった。
こんな俺に、こんな可愛い彼女が出来たんだと心は毎日浮かれていたし、麗結の存在で俺は前よりも自信を持って日々を過ごしていた。
「いいの?!」
「うん。麗結これ欲しいんでしょ」
「でも...」
「サンタさんからのプレゼント、なんつってね」
ある店で彼女がじーっと見つめていたキラキラと光るネックレスが俺にとって初めて彼女にしたプレゼント。
「ありがとう!」と嬉しそうに俺に飛びついた彼女の満面の笑みがまだ頭から離れてくれない。
店を出るとまた左手は彼女の手と繋がって、右手はプレゼントが入った紙袋。
右手だけ冷たくて真っ赤になってたけど、こんなん気にならないくらい幸せだった。
*
「はぁ...」
「あ、そういや伊沢。この前の飲み会どうだったの?」
「ん?この前っていつの話?」
「お前そんな何個もそーゆー飲み会行ってんの?」
「まじでやべぇじゃん」って枝豆をつまみながら須貝さんが笑ってる。
「週2くらいですよ。別にやばくないでしょ」
「週2で行っててまだその不幸オーラ身にまとってんのがやばいんだよ。1人くらいいい子いたでしょ?」
「まぁ」
「持ち帰んなかったの?」
「持ち帰ったっつーか2軒目には行くんですけど」
「なんだちゃんとやることやってんじゃん」
やることちゃんとやっててこれだから悩んでんだよなぁ、という今日何度目かのため息は「すみませーん!生もう...3つ!!」という須貝さんの元気すぎる声にかき消された。