『雪の日』/ mzkm
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終電の時間を迎えるまでのたった3時間くらい。
本当に一瞬だったのに、私にとっては人生の中で最も濃い時間だった。
人生で初めて男の人にご飯を振舞った。
人生で初めて男の人に抱きしめられた。
人生で初めて男の人にキスされた。
人生で初めて男の人に....
「痛くなかった?」
「思ったより」
「ねぇ、麗結って呼んでもいい?」
「なんで今...」
「今ほど最適な時ないでしょ」
ベットの上の彼は同い年とは思えないほどの大人っぽさと色気を纏っていた。
これは聞いたことがあるあれだ。
女は抱かれた男を好きになってしまうっていうあれ。
ちょっと浮かれていた。
「俺のことも颯って呼んで」
「颯?」
「あっ、呼んでくれるんだ」
「別に名前呼ぶくらい...」
人生で初めて男の人の涙を見た。
「はは、ごめん、俺気持ち悪いくらい麗結のこと好きでっ...だっさ」
「えっと...なんか...上手く答えられないんだけど...ありがとう?」
「好き」
人生で初めて男の人に目を見て好きと言われた。
今日1番の力でぎゅっと抱きしめられて何度も何度も言われた。
私は返すことが出来なかった。
この感情がなんなのか自分では分からなかったから。
「麗結に好きになって貰えるように俺頑張るから。あとちょっとだけ一緒にいて」
「うん、いいよ」
「そんなあっさり?いいの?!」
「うん。私、颯に興味があるの」
「好きなんじゃない?」
「それは分からない」
なんじゃそりゃ、って颯は笑った。
さっきまでの泣き顔が嘘だったように満面の笑みで。
多分この時から私は颯が好きだった。
颯が何故私のことをここまで好きなのか分からないのと同じように、私も何故颯のことがここまで気になるのかが分からなかった。
このもやもやはきっと好きだという感情だったのだと思う。
「好きって思ったら好きって言ってよ!」
「わかったわかった」
「ほんとに分かってる?分かってなかったらお仕置きだからね」
「分かってるって!」
少しずつ2人の距離は縮まっていって、夏になると颯の口癖が「俺のこと好き?」になった。
その度に好きって言ってしまおうか迷ったけどなんか違う気がして「どうだろう」と答えた。
「俺もう逆に楽しみだよ、麗結がいつ好きって言ってくれるのか」
「いつだと思う?」
「今でしょ!」
某塾講師の真似っ子をした颯がニコニコしながら期待の眼差しで私を見る。
すっごくかっこよかった。
好きだと思った。
この人が私の彼氏だと胸を張りたいと思った。
「今じゃないでしょー」
「今言うところだろー!絶対!」
「今じゃないなぁ」
「俺はこんなに麗結にぞっこんなのに!」
まあいいけどさ、って私の髪を撫でた颯に気持ちは多分届いていたと願いたい。
本当に一瞬だったのに、私にとっては人生の中で最も濃い時間だった。
人生で初めて男の人にご飯を振舞った。
人生で初めて男の人に抱きしめられた。
人生で初めて男の人にキスされた。
人生で初めて男の人に....
「痛くなかった?」
「思ったより」
「ねぇ、麗結って呼んでもいい?」
「なんで今...」
「今ほど最適な時ないでしょ」
ベットの上の彼は同い年とは思えないほどの大人っぽさと色気を纏っていた。
これは聞いたことがあるあれだ。
女は抱かれた男を好きになってしまうっていうあれ。
ちょっと浮かれていた。
「俺のことも颯って呼んで」
「颯?」
「あっ、呼んでくれるんだ」
「別に名前呼ぶくらい...」
人生で初めて男の人の涙を見た。
「はは、ごめん、俺気持ち悪いくらい麗結のこと好きでっ...だっさ」
「えっと...なんか...上手く答えられないんだけど...ありがとう?」
「好き」
人生で初めて男の人に目を見て好きと言われた。
今日1番の力でぎゅっと抱きしめられて何度も何度も言われた。
私は返すことが出来なかった。
この感情がなんなのか自分では分からなかったから。
「麗結に好きになって貰えるように俺頑張るから。あとちょっとだけ一緒にいて」
「うん、いいよ」
「そんなあっさり?いいの?!」
「うん。私、颯に興味があるの」
「好きなんじゃない?」
「それは分からない」
なんじゃそりゃ、って颯は笑った。
さっきまでの泣き顔が嘘だったように満面の笑みで。
多分この時から私は颯が好きだった。
颯が何故私のことをここまで好きなのか分からないのと同じように、私も何故颯のことがここまで気になるのかが分からなかった。
このもやもやはきっと好きだという感情だったのだと思う。
「好きって思ったら好きって言ってよ!」
「わかったわかった」
「ほんとに分かってる?分かってなかったらお仕置きだからね」
「分かってるって!」
少しずつ2人の距離は縮まっていって、夏になると颯の口癖が「俺のこと好き?」になった。
その度に好きって言ってしまおうか迷ったけどなんか違う気がして「どうだろう」と答えた。
「俺もう逆に楽しみだよ、麗結がいつ好きって言ってくれるのか」
「いつだと思う?」
「今でしょ!」
某塾講師の真似っ子をした颯がニコニコしながら期待の眼差しで私を見る。
すっごくかっこよかった。
好きだと思った。
この人が私の彼氏だと胸を張りたいと思った。
「今じゃないでしょー」
「今言うところだろー!絶対!」
「今じゃないなぁ」
「俺はこんなに麗結にぞっこんなのに!」
まあいいけどさ、って私の髪を撫でた颯に気持ちは多分届いていたと願いたい。