『はじめの一歩』/ fkr
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鏡の前でぐるりと1周。
一目惚れした真っ赤な着物。
あんまり見た事のない髪飾り。
今日の私はちょっと可愛い。
ちょっと大人っぽい。
誕生日は3か月前に迎えたけれど
19歳から20歳になったところで特になんの変化もなかった。
変わったのはお酒が飲めるようになったことくらいだ。
お父さんが少し寂しそうに「綺麗じゃん」と言ってくれて、いつもお世話になっている美容院のお姉さんから花束を貰った。
私が感じていないだけで、成人というものは結構大きな節目なんだと気づく。
「わあ、麗結ちゃん?」
成人式に向かう前、玄関の前で写真を撮ってもらっていたら声をかけられた。
声の方を見なくたってわかる。
大好きな声、大好きな人。
「あ!拳くん!」
「すっごい綺麗。賑やかだから来ちゃったよ」
斜向かいに住んでいる拳くんは6つ年上のお兄ちゃん。
両親が言うには私が生まれた時からずっと兄のように私と遊んでくれていたらしい。
高校も拳くんが通っていた所に頑張って進学したし、勉強も拳くんに教えて貰った。
そして今になっても1ヶ月に1回はご飯に連れていってくれる優しいお兄ちゃん。
「変じゃない?」
「似合ってるよ、大丈夫!俺にとっては変な感じだけどね」
「変な感じ?」
「ずっと妹だと思ってた麗結ちゃんが成人式に行くんでしょ?びっくりだよ」
ほんとね、って両親も拳くんの方を見て笑ってる。
私が拳くんのことをお兄ちゃんと思っているのと同時に、拳くんも私のことを妹だと思っているわけで。
私がひそかに抱き続けている拳くんへの恋心というやつは心の隅っこでぽっと灯ってはまた消える。
でも目の前でこうして「あはは、可愛いね」ってニコニコしてる姿を見たらやっぱり好きだなって思ってしまう。
「麗結!拳くんの隣並んで」
「えっ...」
「ええ、写真なんていつぶりだろうね、僕もっとちゃんとした格好で出てこなきゃダメだったなぁ」
お母さんがスマホを掲げて私の背中を押す。
帯で締められたお腹が苦しいせいか、胸まで苦しくなってきた。
拳くんの運転する車に乗せてもらって出かけても、ご飯に行っても、こんなに近くに立つことなんてないもん。
距離...距離...真隣...!!
「あ、キラキラついてる」
「これ可愛くない?!」
「うん、これも可愛いね」
「も?」
と聞き返したのに、拳くんがすっと腰に手を当てて「ほら写真」ってお母さんの方を指さすからそれどころじゃなくなった。
拳くんは6つも年上のお兄ちゃん。
聞いたことないけどきっと素敵な彼女さんがいて、色んなことを経験してて...
初めて拳くんに触れられた、なんて喜んでいるのは私だけで拳くんにとっては普通の行動なはずなのにずーっと心臓がうるさかった。
式に向かう車の中で撮ってもらった写真を見せてもらったら、拳くんはいつも通りかっこいいのに、私はびっくりするほどの苦笑いだった。
一目惚れした真っ赤な着物。
あんまり見た事のない髪飾り。
今日の私はちょっと可愛い。
ちょっと大人っぽい。
誕生日は3か月前に迎えたけれど
19歳から20歳になったところで特になんの変化もなかった。
変わったのはお酒が飲めるようになったことくらいだ。
お父さんが少し寂しそうに「綺麗じゃん」と言ってくれて、いつもお世話になっている美容院のお姉さんから花束を貰った。
私が感じていないだけで、成人というものは結構大きな節目なんだと気づく。
「わあ、麗結ちゃん?」
成人式に向かう前、玄関の前で写真を撮ってもらっていたら声をかけられた。
声の方を見なくたってわかる。
大好きな声、大好きな人。
「あ!拳くん!」
「すっごい綺麗。賑やかだから来ちゃったよ」
斜向かいに住んでいる拳くんは6つ年上のお兄ちゃん。
両親が言うには私が生まれた時からずっと兄のように私と遊んでくれていたらしい。
高校も拳くんが通っていた所に頑張って進学したし、勉強も拳くんに教えて貰った。
そして今になっても1ヶ月に1回はご飯に連れていってくれる優しいお兄ちゃん。
「変じゃない?」
「似合ってるよ、大丈夫!俺にとっては変な感じだけどね」
「変な感じ?」
「ずっと妹だと思ってた麗結ちゃんが成人式に行くんでしょ?びっくりだよ」
ほんとね、って両親も拳くんの方を見て笑ってる。
私が拳くんのことをお兄ちゃんと思っているのと同時に、拳くんも私のことを妹だと思っているわけで。
私がひそかに抱き続けている拳くんへの恋心というやつは心の隅っこでぽっと灯ってはまた消える。
でも目の前でこうして「あはは、可愛いね」ってニコニコしてる姿を見たらやっぱり好きだなって思ってしまう。
「麗結!拳くんの隣並んで」
「えっ...」
「ええ、写真なんていつぶりだろうね、僕もっとちゃんとした格好で出てこなきゃダメだったなぁ」
お母さんがスマホを掲げて私の背中を押す。
帯で締められたお腹が苦しいせいか、胸まで苦しくなってきた。
拳くんの運転する車に乗せてもらって出かけても、ご飯に行っても、こんなに近くに立つことなんてないもん。
距離...距離...真隣...!!
「あ、キラキラついてる」
「これ可愛くない?!」
「うん、これも可愛いね」
「も?」
と聞き返したのに、拳くんがすっと腰に手を当てて「ほら写真」ってお母さんの方を指さすからそれどころじゃなくなった。
拳くんは6つも年上のお兄ちゃん。
聞いたことないけどきっと素敵な彼女さんがいて、色んなことを経験してて...
初めて拳くんに触れられた、なんて喜んでいるのは私だけで拳くんにとっては普通の行動なはずなのにずーっと心臓がうるさかった。
式に向かう車の中で撮ってもらった写真を見せてもらったら、拳くんはいつも通りかっこいいのに、私はびっくりするほどの苦笑いだった。