『浮かれたクリスマス』/ izw
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「降る雪がぜーんぶ~」とコマーシャルの歌を口ずさみながら正方形のチョコレートを口に放り込む。
「物理的に無理です」
「いいのにね!って言ってるでしょ」
「いいわけないでしょ。どっから降ってくると思ってんの?」
「伊沢くんめんどくさぁーい!」
「あ、ダメですよ。まだ夏なんで」
「もう12月だよ。そんなのいいわけないでしょ。」
溜息をつきながら私のチョコレートを勝手に奪い取って同じように口に放り込む。
「久々に食べるとうまいな」って呟いてもうひとつと手を伸ばしたところを止めた。
「夏延長!ね?」
「だーかーらー延長してくていいの!」
「隙あり!」
さすがにこの時期になると、人がちらほらいる学生食堂の隅っこの席でこれを言うのは恥ずかしいようで顔をぐっと近づけてささやき声。
ね?の時に首をコテンと傾けるのがツボすぎて何度もこのセリフを言わせたくなる...なんてぼーっとしてたら袋の中に手を伸ばしてるのを止めていた手をすんなり退かされてしまった。
「お、抹茶うんめ」
「もうダメです」
「麗結さんまだひとつしか食べてない。俺2個食ったのに」
「伊沢くんが2個食べたのがおかしいんでしょ。太っちゃうからダメ」
「こんな1粒のこと気にしてんのにそんな大袋買ったの?先輩は。いつかは食べんでしょ?同じだけ太るじゃん」
確かに間違いない、ってごもっともなことを言われてムスッとしながらカバンにチョコの大袋をしまうと「あ、またやらかした?俺」と伊沢くんが申し訳なさそうに眉を下げる。
「別にー」
「あ、やらかしてるわこれ。先輩怒ってるわ」
「怒ってません」
「なんだろ。太るって言ったこと?でもこんな甘いチョコが太らないわけないし太るって言ったのは先輩だし...」
「あんまり喋んない方がいいかもね」
「黙ります黙ります」
何故か左手で口を押さえてるのを喋らないためと気づくのに時間がかかったけど、こんな伊沢くんとの日々もあの夏の終わりから始まりもう今年が終わろうとしている。
真面目だけど色んなことを知ってて、面白い話でたくさん笑わせてくれて。
付き合ってる男女っぽいことは全くしてないけど幸せだった。
そろそろいいかなぁ、とわたし的には思ってるんだけど...
「ん?」
「伊沢くんいつまで黙ってるの?」
「んー!!んんんんん!」
「もう喋っていいよ?」
「はぁ...先輩が喋んない方がいいって言ったので」
こんなことしている間に何にムスッとしてたのか忘れているわけで、伊沢くんの恋愛力のなさは意外と使えるかもしれない。
「クリぼっち回避しましたー!」
「うわー!!まじか!あの子?」
「いや違う!」
遠くのテーブルから賑やかな声が聞こえてきて、振り返ると男子学生の集団。
伊沢くんの眉がピクっと動いたのを私は見逃さなかった。
「出た。クリスマスだし彼女欲しい奴ら」
「伊沢くんなんか恨みでもあるの?笑」
「ないっすけど...そんな男が麗結さんに近寄ってきたら俺負けるし」
「負けないでよそこは」
「いや負けますよ、今のままだと。恋愛偏差値くっそ低いんで」
「努力してください」
「努力は見せないタイプなので」
「え?」
「ん?」
見せないタイプってことは...
彼なりに何か勉強をしてくれているということで間違いない?!
そうだよね?!
デートもまともにしたことないし、カップルらしいことなんて手繋ぐことくらいしかしたことないけどそういうことだよね?!
「明日忙しそうだなぁ」
「バイト?」
「うん」
「クリスマスイブなのに大変だね」
「クリスマスイブだから働くんだよ。ほかの人たちは浮かれてて休み取ってるでしょ?」
「伊沢くんは...浮かれないの?」
「俺っすか?俺は浮かれないですよ。普通の平日じゃないすか」
伊沢くんは本当にいつも通り変わらない。
恋人がいるクリスマスにこんなに浮かれてる私とは対照的になんにもソワソワしてないし普通にバイトって。
私と特別な日を過ごす気はないみたい。
「物理的に無理です」
「いいのにね!って言ってるでしょ」
「いいわけないでしょ。どっから降ってくると思ってんの?」
「伊沢くんめんどくさぁーい!」
「あ、ダメですよ。まだ夏なんで」
「もう12月だよ。そんなのいいわけないでしょ。」
溜息をつきながら私のチョコレートを勝手に奪い取って同じように口に放り込む。
「久々に食べるとうまいな」って呟いてもうひとつと手を伸ばしたところを止めた。
「夏延長!ね?」
「だーかーらー延長してくていいの!」
「隙あり!」
さすがにこの時期になると、人がちらほらいる学生食堂の隅っこの席でこれを言うのは恥ずかしいようで顔をぐっと近づけてささやき声。
ね?の時に首をコテンと傾けるのがツボすぎて何度もこのセリフを言わせたくなる...なんてぼーっとしてたら袋の中に手を伸ばしてるのを止めていた手をすんなり退かされてしまった。
「お、抹茶うんめ」
「もうダメです」
「麗結さんまだひとつしか食べてない。俺2個食ったのに」
「伊沢くんが2個食べたのがおかしいんでしょ。太っちゃうからダメ」
「こんな1粒のこと気にしてんのにそんな大袋買ったの?先輩は。いつかは食べんでしょ?同じだけ太るじゃん」
確かに間違いない、ってごもっともなことを言われてムスッとしながらカバンにチョコの大袋をしまうと「あ、またやらかした?俺」と伊沢くんが申し訳なさそうに眉を下げる。
「別にー」
「あ、やらかしてるわこれ。先輩怒ってるわ」
「怒ってません」
「なんだろ。太るって言ったこと?でもこんな甘いチョコが太らないわけないし太るって言ったのは先輩だし...」
「あんまり喋んない方がいいかもね」
「黙ります黙ります」
何故か左手で口を押さえてるのを喋らないためと気づくのに時間がかかったけど、こんな伊沢くんとの日々もあの夏の終わりから始まりもう今年が終わろうとしている。
真面目だけど色んなことを知ってて、面白い話でたくさん笑わせてくれて。
付き合ってる男女っぽいことは全くしてないけど幸せだった。
そろそろいいかなぁ、とわたし的には思ってるんだけど...
「ん?」
「伊沢くんいつまで黙ってるの?」
「んー!!んんんんん!」
「もう喋っていいよ?」
「はぁ...先輩が喋んない方がいいって言ったので」
こんなことしている間に何にムスッとしてたのか忘れているわけで、伊沢くんの恋愛力のなさは意外と使えるかもしれない。
「クリぼっち回避しましたー!」
「うわー!!まじか!あの子?」
「いや違う!」
遠くのテーブルから賑やかな声が聞こえてきて、振り返ると男子学生の集団。
伊沢くんの眉がピクっと動いたのを私は見逃さなかった。
「出た。クリスマスだし彼女欲しい奴ら」
「伊沢くんなんか恨みでもあるの?笑」
「ないっすけど...そんな男が麗結さんに近寄ってきたら俺負けるし」
「負けないでよそこは」
「いや負けますよ、今のままだと。恋愛偏差値くっそ低いんで」
「努力してください」
「努力は見せないタイプなので」
「え?」
「ん?」
見せないタイプってことは...
彼なりに何か勉強をしてくれているということで間違いない?!
そうだよね?!
デートもまともにしたことないし、カップルらしいことなんて手繋ぐことくらいしかしたことないけどそういうことだよね?!
「明日忙しそうだなぁ」
「バイト?」
「うん」
「クリスマスイブなのに大変だね」
「クリスマスイブだから働くんだよ。ほかの人たちは浮かれてて休み取ってるでしょ?」
「伊沢くんは...浮かれないの?」
「俺っすか?俺は浮かれないですよ。普通の平日じゃないすか」
伊沢くんは本当にいつも通り変わらない。
恋人がいるクリスマスにこんなに浮かれてる私とは対照的になんにもソワソワしてないし普通にバイトって。
私と特別な日を過ごす気はないみたい。